譜めくりの女~フランス映画の伝統おそるべし
「譜めくりの女」、
これもまたすごい映画でした。
こういう復讐もあったのかと。
一人の人間を壊す、というかその方法が粘着質。
これが男だったら暴力とか殺人というふうに展開しそうなところですがこの映画は女性ですから。
映画は冒頭、
ピアノの才能に恵まれたあまり裕福ではない肉屋の娘がコンセルヴァトワールの試験を受けるところから始まります。
そのとき審査員の一人であったピアニストがとったある行動により、娘はピアノの演奏を台無しにされてしまいます。
それによりピアノの夢を絶たれた娘。
やがて美しい女性に成長したその娘は、そのピアニストの成功と破滅の鍵を握る譜めくりとなります。
譜めくりの娘に精神的に依存していくピアニスト、
いっぽうで娘は復讐を丹念に計画していたのです。。。
という。
映画ではこの譜めくりがあの娘であると始めから誰でもわかります。
ですから謎解き映画というわけではなく、その娘が今に何かやる、やるに違いないという
じわじわとしたサスペンスが迫ってくるんです。
どのようなことを仕掛けるかというと・・それはヒミツ。
ピアニストと譜めくりの関係性を巧みに利用して、復讐のドラマを不協和音を散らばらせた現代音楽のように構築した映画です。
静かななかに漂う不穏な空気・・・。
台詞は最小限に少ない。
俳優の目の色、眉の動き、睫の揺れ・・・・些細なもので映像化されていく人間心理が深い。
あとね、私がとっても興味深かったのが、フランスの弁護士さんの暮らしぶりです。
きゅうに現実的で俗っぽいところに目がいってすいませ~んという感じで、
目がギラギラしちゃいました(笑)
ピアニストの夫の弁護士さん、プールもあればテニスコートもある、ものすごい豪邸に住んで、ピアニストの妻は自分のステイタスシンボルのひとつのような。
ま、フランスの典型的なブルジョアなんでしょうねえ。
ところがそのリッチ豪華な暮らしぶりも人間と人間の心理の襞にもまれて、息苦しそうなんです。
心理の襞の奥を「ぎゅうぎゅう」と搾り出してくるフランス映画の伝統の上手さ、すごいですね。
すこしも盛り上がった映像はないのに面白い。
フランス映画の伝統の強さに唸ってしまう映画でした。
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コメント
ふ~む
なかなかこわそうな 映画ですねぇ
譜めくり
2ページ一緒にめくっちゃうとか?
もっとこわいの?
投稿: kokoni | 2008年11月 4日 (火) 21時40分
kokoniさん
>2ページ一緒にめくっちゃうとか?
もっとこわいの?<
もっとこわいですよぉ。
ピアニストにとって譜めくりの存在ってすごく大きいんでしょうね?
演奏の流れの中で、その流れを絶対に変えないように、ピアニストの演奏中の感情をせきとめたりしないようにとか。
めくるときにめくってあげないとか、2ページいっしょにとか考えるのは人のよい人間だと思います。
もっともっとすごいこと。すごい手の込んだことです。
機会があったらご覧になってくださいませ。
音楽に造詣の深いkokoniさんなら私よりもっといろんな意味を考えられると思います。
投稿: betty | 2008年11月 4日 (火) 22時33分
はいっ!ワタクシ譜めくりしょっちゅうやってました。
演奏者の集中力がビンビン伝わってきて、自分が弾くわけでもないのに、この演奏の成否の鍵は自分が握っている(ある意味そうなんですけど)なんて、おこがましくもすごーく緊張します。
特にライブ収録なんぞ入っているときは、自分が座る椅子の音さえ怖いです。
そのくせ、余計なことを考えたり、したくなったり、つい余所見したり、おっとあぶない!どこ弾いてるんだっけ、なんて。
映画はあまり得意ではないのですが、ぜひ見てみたいです!
投稿: yosshi | 2008年11月 5日 (水) 00時52分
yosshiさん
譜めくりなさってたんですか、すご~い。
ほんとに成否の鍵を握ってる存在ですよ
そう思ってみると、黒いシンプルな衣装もぎゃくに迫力があったりしますよね。すごい存在だ~。
あの方たちはピアニストがどんなに入り込んで弾いていても、譜をめくるときしか動かずじっとしてるでしょう
でも、椅子の音さえコワイ・・・なるほど、そうなんですね、
確かにコワイですね。
ピアニストも観客も入り込んで聴いてる世界で、一人だけさめてるんですものね。
>そのくせ、余計なことを考えたり、したくなったり、つい余所見したり、おっとあぶない!どこ弾いてるんだっけ、なんて。<
うわっ、そうなんだあ・・アブナイですねえ(笑)
お腹すいたなあ。。とか、ピアニストの横顔眺めながら、この人すこし老けたな、とか?!思ったりすることもありますよね?きっと?
この映画を観てからあらためて譜めくりって影の主だなあって思いましたよ(笑)
この映画でもステージでのコンサートシーン、スタジオでの録音シーン、三重奏のシーン、などいろんな場面での譜めくりの姿がみられました。
フランス映画で台詞極力少ないので、万人向けの娯楽作品ではないのですが、機会があったらどうぞご覧になってください。
投稿: betty | 2008年11月 5日 (水) 08時33分
うーーん、実際には譜めくりが一人だけ覚めてるってことはありえないです。
遠慮なくどんどん進んでいく音楽をしっかり聴きつつ、譜面のいま弾いてる所とその先も眺めて、最適なタイミングでめくるべく、耳と目の神経を総動員してますからねぇ。集中し過ぎてるから他のことやりそうになるんですよねぇ。
ま、譜めくりは方便で実はこわ~い企てがあるっていうなら、話は別。
譜めくりがドジしたせいでピアニストがコケたという場面は私は見たことないなぁ。ピアニスト自身がバサッとページを戻すこととかはありますけど。ピアニストは強いです。普段は譜めくりなしで練習しているわけですから、そのバサッたるや目にも留まらぬ速さです。
投稿: yosshi | 2008年11月 5日 (水) 17時28分
>すごい手の込んだことです
あちこちサーフィンして探ってみました
実際にめくるときに何か
というより そこにいく課程が
コワそう ですね~
ソロでも、わざと(←多分)
譜面を見るピアニストはいますが、
めくりそこなっても絶対とまりませんね。
譜めくりすとの方が立ち往生しちゃう、
っていう事が多いです。
投稿: kokoni | 2008年11月 6日 (木) 18時20分
主人公は自分が譜めくりとして演奏に立ち会ってる時には悪いことはしなかったんですよ。
そこで演奏を壊すということは、一時期はピアニストになろうとしてた人だから、それはできなかったのかもしれません。
だから違うやり方で・・・
そこがすごく念が入ってるんです。
ピアニストを自分に完全に依存させちゃうのですよ。。。娘っこのくせにすごい海千山千ですよ(笑)
>そのバサッたるや目にも留まらぬ速さです<
それ私も見たことあります。はい、すんごく速いです。
>めくりそこなっても絶対とまりませんね。
譜めくりすとの方が立ち往生しちゃう、
っていう事が多いです。<
普通はやはりステージを支配するのはピアニストですよね。
だけどそれって主従関係とはちがうんでしょう?
そのピアニストの心理を譜めくりのほうが完璧に支配してたら?
という部分を映像化した映画かしら。
投稿: betty | 2008年11月 6日 (木) 20時56分
Bettyさんは劇場でご覧になったのですか?こっちではもう終わった映画かな?これも
見たいと重いつつ見逃しました。この頃、
あまり見れてません(涙)
ピアノやッてる友人に言わせると、譜めくり
の人がめくる前に自分でめくってしまうこともあるとのことです。やり方がとろくて
イラつくんですって!
でも、楽しみ~。ツタヤに並ぶの楽しみにします。こういう系、好きです。
投稿: ながこ | 2008年11月 7日 (金) 09時34分
>譜めくりのほうが完璧に支配してたら?
という部分を映像化した映画かしら>
そういうストーリーだったのかもしれませんね。主人公は事故で精神的な不安を抱くようになった、という理由付けがありましたね、
双方の関係は“同士”といった感じでしょうか。
譜めくりも結構緊張しますよ(笑
投稿: kokoni | 2008年11月 7日 (金) 10時36分
ながこさん
映画館で先週までやってたんですよ、
単館系の映画は札幌は東京に続いて比較的早くにまわってくるのですけど、これは遅かったみたいで、DVD発売されてるみたいですね、どこかでDVDの情報を見かけた気がします。
今私がよく行くミニシアターでフランス映画特集をやっていて、その中の一本でした、
今週は「赤い風船」と「白い馬」をやってます。
旧作ですけど私これ昔見逃してるので、みたいなと思ってます。
とくに「白い馬」、主人公の少年が美少年で、予告編でどきっとしました(^^;)
美少年みにいこうっと(笑)
投稿: betty | 2008年11月 7日 (金) 10時57分
kokoniさん
芸術家とそれを支える人は上手く言ってるときは同士という感じなんでしょうね。
あと、芸術というすごい繊細な部分で結ばれてると、その絆をもっと具体的にたしかめたくなって、同性愛になっちゃうこともあるのかな。
この映画ではピアニストのほうがちょっとそれでね。実際には肉体関係はなかったけど。
それを引き出すテクニックも譜めくりが娘っこのくせに手馴れてるんですよ、
譜めくり、すんごい緊張しちゃうでしょうねえ~
投稿: betty | 2008年11月 7日 (金) 11時04分