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2008年8月21日 (木)

金メダリスト西中尉~「硫黄島からの手紙」

クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」を映画館で観たとき、

ちょっと美化されすぎ?!と思ったのが、硫黄島の波打ち際を馬に乗りかっこよく駆けていた、伊原剛志さん演じる西中尉だったわ。

架空の人物かと思ってたので(常識なくて^^;)、あまりにも完全無欠で内面も外見もかっこよい西中尉像に、監督は日本人ヨイショしすぎじゃないかしらあ?と思ったほど。

ところが、映画館を出ると夫が感慨深く言うの

「西中尉だったなあ~、かっこよかった」と。

聞けば、夫が子供の頃は少年雑誌にもこの西中尉がとりあげられてて、

「オリンピックの金メダリストで、スマートでかっこよくて、そして硫黄島で散った」、美しい生き様の悲劇のメダリストとして紹介されてたのだという。

西中尉は1932年のロサンゼルス大会の馬術競技に出場して、個人の金メダルをとったんですけど、

英語ぺらぺら人間で、華族出身の軍人。

当時、満州への進出をすすめていた日本への風当たりは日に日に増していくのに、

西中尉のかっこいい姿や言動はアメリカ人からも尊敬を集めたといわれているのね。

何がかっこいいって

金メダルをとったレースの後に言った言葉、

「我々は勝った」。

なんじゃい、「我々は勝った」ってそのまんまじゃないかと思われるむきもあるでしょうが

西中尉が言った「我々」は「自分と愛馬ウラヌス号」のことだったから

馬術を愛する人たちに大感動を与えたのね。

その後、1944年に西中尉は戦車連隊長として硫黄島に赴き、そこで戦死した。。。

そう聞くと、

監督にとってこのオリンピアン西中尉は、日本人、アメリカ人という括りを超越した存在なのだと思う。

映画の中で今も忘れられない場面がある。

瀕死の若いアメリカ人を、日本軍の兵隊たちが殺そうとするところで、それを止める西中尉。そして同じ心を抱えた人間同士としてそのアメリカ人を介抱する。

戦争という極限状況の中でもフェアーなスポーツマンシップを忘れない。。。

監督クリント・イーストウッドのオリンピアンに対する敬意と憧れの大きさがそのシーンに現れていたと思うわ。

オリンピックもともと、古代ギリシャの神々に捧げられたオリンピアの祭典が始まりで、

オリンピアンは、健康な肉体に普遍の精神を宿し、五大陸を超越した存在であり、神にも近い。

戦争という極限状況のなかにあってもなおそのスポーツ精神は揺るがない、国や地域を越えて集い、鍛えた精神と肉体で戦い、讃えあう。

そのスポーツマンシップの象徴としての西中尉。

そこにはイーストウッド監督のロマンが溢れている。

玉砕のときも最後までフェアーな精神を持っていた日本人、西中尉。

監督のオリンピック選手にたいする思い入れの強さをひしひしと感じる。

「硫黄島からの手紙」という映画を、西中尉というオリンピック金メダリストを中心にして観ると、また別なものが浮かび上がってくるようですわ。

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