西鶴一代女~おうちで楽しむマイ溝口健二監督回顧展
溝口健二監督の「西鶴一代女」、未見だったので長年気になっていて最近ようやくDVDおとり寄せ。
観ることが出来ました。
いや~、これは面白い、すごい映画でした!
溝口美学とも呼ぶべき比類ない美に圧倒されて、押し倒されるように見入ってしまいます。
圧倒的なカメラワークの粋!
こりゃあヨーロッパの監督達が思いっきり憧れ、リヴェットやゴダールがつぎつぎとオマージュ捧げるのも当然だわね。
井原西鶴の「好色一代女」という原作も面白いには面白いけど、やはり映画ならではの影像美、それがほんとっ素晴らしい~!
俳優さんたちの個性も彩り豊かで、飽きることがない。
脇で次から次と出てくる俳優たち、三船敏郎、沢村貞子、加藤大介、大泉晃、毛利菊枝・・・・キャラの粒立てがお見事。
何十年かの女の人生をポンポンと歯切れよく映しこんでいく脚本もまたよろしくて。
いえいえ、やはりここは、溝口監督と田中絹代が両輪となってどっちが先かではなく、揃ってこの映画を圧倒的に動かしていく力によるものなんでしょう。。
白黒映像、それが流れるようにたゆたうように動いていく。
そして長回し。
役者の演技を切らない緊張感ある長回しによって(それが上手い人の場合)、役者さんの演技や役の心に、わしづかみにされますね。
お春というひとりの娘の十代半ばから50過ぎまでをなんと田中絹代さんが一人で演じているのね。すごいですねえ~、いったいこのときいくつなんでしょう。
お顔はやはり年齢を隠せないのですが、存在感で見せきってしまう。そこには有無を言わせぬ気迫がありますもの。
原作の井原西鶴の好色一代女のほうは60代半ばまでじゃなかったかしら。。。
若くて綺麗な娘が、封建制度の男尊女卑の仕組みのなかで、男達の欲によって波乱万丈の人生を送っていくのだけど、これでもかって堕ちていく姿が容赦なく描かれる。
美人だったために城に召し上げられて、産んだ子供が上様にまでなっても、母親のほうは追われて、街娼だ乞食だっていうんだからさ、すごいですよね、ほんと。
と同時に浮かび上がるのは男のどうしようもない欲望。ほんとうにどうしようもないんだわね。
でもって美人薄幸。。。
それって女の肉体に抗えない男たちの自己ちゅーなロマンなんでしょうか、それとも、普通の女達の妬みが作り出した幻でしょうか。
単純なお話だからこそ誰もが何かかにかを感じる「好色一代女」、もとい「西鶴一代女」。
田中絹代さん。。。。
やはり大女優として映画史にその名を刻むだけのことはありますよねえ~。
50数年前のこの映画の中でも、役を生きれば生きるほど、外側は静謐に佇むだけでいいというあの演技、あーものすっごいものを観させていただきましたわ
その演技を凝視する溝口監督の目線の純な厳しさもカメラの奥に感じさせられて。。。
我が家で楽しむマイ溝口回顧展、次回は「山椒大夫」とまいりましょう。
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