「空の穴」から「バベル」へ~菊地凛子の飛躍
(「空の穴」札幌シアターキノにて)
ゴールデン・グローブ賞の助演女優賞候補になっていた菊地凛子さん、受賞は逃してしまいましたが、「バベル」、今年の楽しみな映画の中でもとくに私にとっては目玉です。
「バベル」で菊地凛子が素晴らしい・・と去年のカンヌ映画祭での評判が流れてきたとき、「空の穴」 に出ていた菊地百合子ってわかりませんでした。
いつ名前を変えたんでしょうね?
この人、アノレという事務所の所属なんですが、アノレは浅野忠信の父親が社長をしている俳優事務所で、所属の俳優がたったの4人。
でも、すごいんだわこの事務所。浅野以外に、菊地凛子と加瀬亮ですからねえ~
少数精鋭の精鋭のすごい事務所っていう感じですよね。
帰国子女でもある加瀬亮は「硫黄島からの手紙」でも、最高に印象深い演技をみせてましたけど、「それでも僕はやってない」はアメリカでも公開になるらしいですしね、今後更なる飛躍をと期待できる実力派ですし。
そして菊地凛子でしょう。鮮やかな国際舞台への進出でしたねえ~。
それに浅野忠信の地道な国際派への道、2004年のタイ映画、ペンエーグ・ラッタナルアーン監督作品でのベネチア映画祭第二コンペ部門で主演男優賞受賞、そして現在撮影中の世界的監督セルゲイ・ボドロフ監督によるロシア・ドイツ等合作の大作「MONGOL」主演と、着実に歩む堅実な国際派。
アノレって地道にすごいですね。
菊地凛子さんは何年か前に「空の穴」で観たときが忘れられないんです。
「空の穴」は寺島進さんが主演でね、ほとんど脇役で日本映画を支えてるといっても過言うゃない寺島さんのめったにない主役の映画。
寺島さんを応援したいという気持ちで映画の初日に観にいった。
そのなかで、相手役の菊地凛子がまだ菊地百合子で、ピリピリとした空気と同時に癒し系のほわ~んとした天然ぽさを発してて、とっても面白い女優さんと思ったのよねえ~
アノレ所属の役者らしいなあ~って。
映画も静かで淡々としていて、だからこそ役者の存在感が深くないと観客は映画から置いてきぼりを食っちゃうかもしれないという微妙な感じなのね。
父親のドライブインで料理人をしているいい年した独身の男が、そこへ恋人とドライブ途中に立ち寄った女をひょんなことから面倒をみてやることになる。
男の孤独な暮らしに入ってきた若い女。
でも、男を愛することも男から愛されることもあまりうまくないのかな。
早い話がふたりとも不器用なんだわね。
そんな不器用なふたりがすこしづつ距離を縮めていくのだけど・・・・人生はそんなに簡単に思うようにはならないのね。
他人からみたらほんとうにささやかで、どうってことないじゃん、て言われてしまうようなエピソードかもしれない。
そのなかに男女の機微や、若くはない男のへんな責任感や純情がきらっと光るのね。
主人公のどうしようもない退屈で閉塞的だった日常に穴をあける存在となった女の子を空気みたいに演じた菊地凛子。
勘の鋭さと天然ぽわ~んを共存させた個性的な存在感はいずれもっともっと大きくなるにちがいないと思わせてくれたっけ。
「空の穴」を観た観客の密かな期待を裏切らない「バベル」での国際的な高評価は、「空の穴」を観た映画ファン皆にとって嬉しいことじゃないかしら。
男優の活躍に比べて女優のほうは国際的にはいまひとつ出てこないなあと思っていた矢先、菊地凛子の媚びない堂々とした個性は玄人好みな確実な女優を予感させるわねえ~。
今年は「バベル」公開が待ち遠しい。
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