出口のない海~地味だけど日本の戦争映画のエポックメイキング
回天の映画はとくに辛いかなあと思ってたんですが。
この映画はちょっと違いました。
おっとり微笑んでいる主人公の姿が記憶に残るんです。
青春~~してる姿が。
ストレートに青春を生きてる主人公の姿がそのまま戦争にたいするこの映画のシニカルな姿勢になっていると思うの。
それって戦争映画としてはカッコ悪い映画なんですよね、きっと。
画面のなかの兵隊たちが必死にやってる、でも失敗する、そしてこちらがちょっと笑ってしまう。
笑いさえ起きてしまう戦争映画ってメジャーな日本映画としてはとても珍しいですよね。
そうだとしたらこの映画はエポックメイキングとなるかもしれない。
たまたま下の息子が行ってる大學がこの映画に協力したのでぜひご覧ください、ということが毎月送られてくる大學新聞にのっていたので観にいったのだけど。
とても新鮮なテイストの戦争映画でした。
私は回天に乗ることになる若者たちをひたすらに親の目線で見守りました。
だって、設定がうちの息子と同じ大學に行ってる若者たちっていうんだからよけいそうなるでしょう。
志願するなよおお、とか、回天に乗るなよおお、回天が故障ラッキー、とか心の中で言ってしまう。
回天が故障して突撃できない状態になったら私も夫もどちらからともなく笑っちゃって。
「よしよし、これで戦死しなくてすんだぞお~」というわけ。
ところがその言葉、なんと主人公の口からも出てくる場面があるんですよ。
戦争で死んだ若者たちの心の奥の奥にしまっていたかもしれない本音の吐露です。
最近の戦争映画なら「愛する人のために」と言うんです。
この映画は「出撃しなくて本当はほっとしたんだ」と言うんです。
すごく共感。ほんとだよお~死ななくてよかった。
平和な日本で今を謳歌している息子たちに映画のなかの若者たちが完全に重なる。
命がもったいなくて、彼らの夢がせつなくて・・・で、やっぱり泣けてしまうの。
脚本家・山田洋次さん、監督・佐々部清さん、(原作は未読なので)
この映画の作り手たちの反骨を感じます。
主役の市川海老蔵、以前のNHK大河ドラマでの大げさな演技を消して、映画らしい演技になっていてほっとしました~。
海老蔵さんの御曹司なおっとり感がほんわか~と漂い、それがいっそう戦争の悲惨を後々感じさせてくるんですよねえ。
主人公は仲間が軍に志願したことを受けて、「戦争とは資源と土地の奪いあいではないか」と言い切ったりするような野球部員だったのね。
それが戦局が代わり、友が志願するようになり、彼もその時代の趨勢のなかで志願してしまう。
とくにすごい戦争への信念があったわけでもないのよね。
でも、時代の空気に流される。流されて国に命を捧げてしまう。。
敗戦濃厚な戦局のなか、疑問を抱きつつも確実に死なねばならない特攻に赴く回天に乗る若者たち。
軍神なんてなにさ、そんなもんにならなくてもいい。
卑怯者と呼ばれようが腰抜けと呼ばれようが生きててほしい。
彼らには夢も希望も未来もあった、それを奪った戦争。
尊い命を国のために捧げた若者たちの死をどんな思想をもってしても侮ったりすることはできませんでしょう。
その犠牲の上に今の日本があることは決して忘れられません。
「パッチギ」でもいい感じでしたけど、この映画でますますの飛躍を感じました。
←びっくりなのが黒田勇樹。
かつては美少年の代名詞だったでしょ。子供時代は美少年のご多分にもれず、背が伸びそこなったみたいでした。これからは脇役で地味にいきそうね。
←柏原収史も日本映画界のなかで確たる定位置を確立してきましたよねえ。
柏原収史は「スリ」のときにびっくりしたんですよお。
その後も「月の砂漠」「血と骨」となかなかの演技巧者です。
戦争の悲惨を二度と繰り返さないようにとの願いを強く感じる映画でした。
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コメント
こんばんわっ。
息子さんの大学が撮影に協力されてたんですね~
だったらどうしても親目線になっちゃいますよねー。
海老さん、最近かっこいいなーって私思うんですよ、なんか。
黒田勇樹君、懐かしい~~
ベティさんは見てたかな?
「人間・失格」あの時私は
めちゃめちゃこの子怖い~~~って思ってたんだけど、
そうですか、背があまり伸びなかったんですね。
でも脇でも細々とやってる方がいい場合もありますよね。
投稿: Chocolate | 2006年9月24日 (日) 21時50分
Chocolateさん
海老蔵さんいいね!よかったよお~。
ファンになっちゃったわ。可愛いんだもん。
これから海老蔵さんに注目だわん。
「人間・失格」全部は観てないけど観てましたよお。
黒田くんもともと演技力あるし、不思議な雰囲気は今もあるし、これから脇で楽しませてもらえそうですよお。
投稿: betty | 2006年9月24日 (日) 23時14分
海老さまが良かったの?「男たちの大和は泣けて泣けて困ったぐらいだったのよねー、これはあまり泣かなくてすむのね?海老蔵ファンのおばあちゃんを連れて行ってもオーケーかな?
投稿: ポテコ | 2006年9月25日 (月) 09時32分
ポテコさん
この映画、戦争映画だけど普通に青春映画だし、普通にスポーツ映画だし、という部分がすごく印象的でいいと思います。
それだけに、戦争で命を捧げていく若者の姿がとても悲しい。
戦争体験をした人には辛すぎるかなあと思ったりもするのです。
私は「男たちの大和」に母を誘いましたが母はやはり辛かったみたいなの。
どうかな。
投稿: betty | 2006年9月26日 (火) 09時21分
はじめまして
検索エンジンで見つけました。
書き込みさせてください。
日本の戦争映画なら「キスカ」です。
モノクロですから最近の人には物足らないかな。
戦争映画ですから男優しか出ていません。
愛や恋もありません。
でも一見の価値ありですよ。
レンタルビデオ借りてみてみてくださいね。
投稿: けい | 2008年1月 2日 (水) 20時16分