皆月~せつなくエロスの名作
映画作品のほうは男と女の機微を知ったアダルトな方々のための秀作です。
とってもいい映画なんです。
けっこうな官能描写に加え暴力的な描写もあるので、そういう映画を観慣れない人は、いい映画なんだろうなと思いつつも、きわどいエッチ描写におそれをなすかもしれません。
でもほんといい映画なんです。
「皆月でした・・・さようなら」
妻・沙代子がまったく意味のわからないそんな書置きを残し、預金をもって出て行った。
建築家である夫の諏訪は、妻の弟でヤクザのアキラに相談すると、アキラはソープ嬢の由美を諏訪の慰みに与える。
妻を捜し求めながらも若い由美の体にもひかれていく諏訪。
設計士の中年男とヤクザと風俗嬢の奇妙な三角関係がはじまる。
そこには乱暴でありながらも、せつないまでの人恋しさが漂う。
とてもエロティックな描写が多々入るんですが(いちいち説明できないほど艶かしいシーンも)、なにせ俳優たちがうまいです。
こういう映画は一歩間違えばキワモノになるところです。
でもこの映画はそれを秀作にまで高めてしまった。
安心して観られます。
きわどい・激しいエロティック表現は内面からあふれ出る情感も同時に表出して素晴らしいと思います。
見ごたえあります。
役者が、奥田瑛二、吉本多香美、北村一輝、荻野目慶子。
ね、官能演技がいけてる演技派そろいでしょう
(じつは吉本多香美はここまでやるかとびっくりさせられた。でもその後、「JAM FILMS」でもひじょうに官能的なところをみせてもらって、お主やるなあ~~~と賞賛したのよ。
吉本多香美の脱ぎっぷりの良さには知的なお嬢さまイメージを潔く逸脱してくれて頼もしい。見上げた女優根性ね。)
映画はヴァイオレンス描写もなかなか激しいのですが、観終わって時間がたつほどに官能と情感の湧き出でることといったらすごいわ。
何年も前に観たのにいまだにいくつものシーンが鮮烈さを失ってませんもの。
妻・沙代子が風呂に入ってるシーン、由美がアキラに台所の食用油を塗られ台所で・・というシーン、諏訪の唾液シーン、妻沙代子の海辺のシーン・・・など。
すべてがエロスに染まりながら、人の頼りなく儚い情感が画面の底を震わし続けるのね。
いかに人が頼りなく儚いか・・・
それが冒頭の「皆月でした」という妻の言葉に表れているようだったわ。
自分からは光を発することができないことの例えなんですね。
諏訪も妻も月だったというわけ。
月同士は永遠に光らないで終わってしまうしね。
う~む、きびしい視点ですね。
この映画、エロティックな描写を重ねていくのも、人のそんな渇きや悲しみをとりあえず瞬間忘れるための一場の癒しとみているからかしら。
それって突き詰めると悲しいですか?
一場の癒し・・・それでもいいじゃない。
月同士が一緒になったカップルも山ほどいるでしょう。
互いに光ることがなくても、癒しあう関係でもいいじゃない。
人肌と生温かい呼吸がいきづいている。
観ているときは刺激的だけど、観終わって心に染みる・・。
R指定。
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コメント
「皆月」、単行本を読んだのでトラックバックさせていただきます。映画はまだ観ていませんが。よろしくお願いします。
投稿: tonton3 | 2006年8月 7日 (月) 19時57分
tonton3さん
トラックバックとコメントをありがとうございました。
早速飛んでいってtonton3さんの「皆月」の記事を読ませていただきました。
「やわらかい生活」同様、とてもわかりやすく深いですね。
映画は原作の深さまでいかないかもしれませんが、なかなかな秀作で私にとっては忘れがたい映画でした。
こちらこそよろしくお願いします。
投稿: betty | 2006年8月 7日 (月) 20時13分
おおっ。こちらにもコメントを。
実は花村萬月ファンな私。(ただし芥川賞前)
Vシネのちょいとエロいのも見てたりします。暴力とSEXは花村萬月のキモです。
「皆月」は荻野目慶子が、さもありなん、でした。
「セラフィムの夜」もおすすめ。
「イグナシオ」はあんまり・・・。原作はおもしろいんですが。
投稿: もじもじ猫 | 2006年8月12日 (土) 22時56分
もじもじ猫さん
「セラフィムの夜」面白そうですね。
両性具有の女性が主人公なのね?!
観てみます☆
投稿: betty | 2006年8月13日 (日) 22時10分
花村萬月さんの作品は初めて読みました。
この作品が映画化されていたなんてちっとも知りませんでした。
なかなか奥深い描写のようですね。R指定では家族で見るわけにはいかなそうですが、限りなく「エロス」を感じさせるであろうレビューにかなりそそられます。
台所のシーン。。。見てみたい。。。
逆TBありがとうございました。
投稿: ましねおじさん | 2006年10月 4日 (水) 01時42分
>ましねんおじさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
映画は、子供といっしょには観れませんが、奥様とだったらいいかも。うちは夫婦で観ました~。こういうの夫婦で観てあとでなんだかんだと酒の肴にして話してます。
お一人でももちろん面白いと思います。
台所のシーンもあれやこれやのシーンもぜひご覧になってみてくださいませ。
私は小説のほうを読んでみたいですう。
投稿: betty | 2006年10月 4日 (水) 22時12分