オリヴィエ・オリヴィエ~失踪した我が子は男娼に?!
前記事でご紹介した「僕を愛したふたつの国~ヨーロッパヨーロッパ」と同じポーランドのアニエスカ・ホランド監督。
「オリヴィエ・オリヴィエ」のほうはまったくちがう静かなサスペンスな作品になっている。
とてもワールドシネマな個性的なサスペンスなのね。
後で考えると真犯人はなるほどあの人だったのか、と納得なわけだけど。
観ている最中は真犯人はとっても巧みに消しゴムで消されていて死角になってるのね~。
ある日、ママにお使いを頼まれたオリヴィエという男の子が途中で失踪してしまう。
周囲は黄金色に輝く麦畑。
その悲劇的な出来事以来、獣医のパパと神経質なママの仲もますますぎくしゃくして。
オリヴィエのお姉ちゃんがひとりいるのだけど、そのお姉ちゃんは、弟を溺愛していたママが自分をあまり愛してくれないことで傷ついていたりもする。
家族ってたいへんだねえ~と思う。
最愛の息子の失踪以来、家族それぞれ生き難さを抱え込んだまま、その6年後、オリヴィエがパリの駅で見つかったと連絡が入る。
オリヴィエはトイレで男相手に男娼まがいの行為をしていたのね。
ママは飛んでいって、オリヴィエにちがいないと言う。
そのオリヴィエ、家にもどってきてオリヴィエとして家族と暮らすようになるのだけど・・・彼はほんとうにオリヴィエなのか?
お姉ちゃんとオリヴィエの、近親相姦の匂いも漂う関心の持ち合い。
パパにさえ男娼時代を髣髴とさせる雰囲気を放ったり、
妖しいオリヴィエ。
奔放で小悪魔なオリヴィエ、
ほんとうに、あの失踪した可愛かったオリヴィエなの??
この映画、オリヴィエ役の俳優がそれほどハンサムではないのに、観ているうちにどんどん妖しく、男娼的な隠微な雰囲気を醸し、とても摩訶不思議な魅力を放ちだす。
ママとパパもたぶらかされているんじゃないかと思われるほど、奔放に、男にも女にも媚びをふりまく。
少年とは思えないしたたかさを時々覗かせて、普通じゃないぞこいつは、みたいな訳わからない存在感を醸す。
オリヴィエだと信じきりたいママとパパにたいし、姉はクールな接触をする。
姉はオリヴィエは偽者と思ってるようなの。
そしてオリヴィエと関係を持ってしまう。
きょうだいだったらどうするのよ?!とどきっとさせて、でもどうなる?
なにが真実?
オリヴィエがほんものか偽者かで、ママはオリヴィエのお腹にある傷跡をみて本物のオリヴィエだと確信する。
さてその真相は?
オリヴィエ探しの様相が、じつは家族ひとりひとりの孤独と自分探しになっている。
どこでどう暮らしてきたのか男娼暮らしの根無し草のようなオリヴィエが放つ危うさは、彼の依拠するところがどこなのか、はっきりしないところからくるのかもしれない。
そうかといって、家族があって、確立された大人であるはずの家族たちは、ひとりの家族の失踪からアイデンティティーは混乱をきたしてしまった。
そのなかで、確信犯的に“なにものにも属さない自分”をアイデンティティーとして持ちえてしまったオリヴィエ(本物?偽者?)の強靭さが異様でもあるのね。
オリヴィエのパパ、オリヴィエのママというところで自己の一部をあるいは全部を確立していた大人はそれが消えたときのダメージは大きいのでしょうねえ。
サスペンスを引きずりながら、この映画は脆い人間、家族を抉ってもいるのかしら。
人が「確かだ」と思うことの「不確かさ」に飲み込まれそうになる。
最後にかみ締めたのは「灯台下暗し」という言葉。つくづく。
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コメント
前回のヨーロッパ・ヨーロッパも、この映画もDVDは発売されていないのですね。
しかも、VHSも貴重になりつつあるような~。
この映画は、何やら不思議な匂いがしますよ。
最後の最後でドンッ!ひぇ~?ですか。
う~む・・・。
投稿: ちゃろ | 2006年6月29日 (木) 17時27分
VHSも貴重なものになりつつあるんですか~。なぜか持ってます(^^)/
見てる最中より、観てから時間がたつほどに、深まってくる映画ですわ。
かなりな秀作じゃないかなあ・・との思いが後ほど強くなります。
投稿: betty | 2006年6月29日 (木) 19時08分