しあわせな孤独
監督はこの作品が劇場長編第1作目だそう。
シビアでいい映画でしたわ。
この映画にはマッツ・ミケルセンも出ている。
ミケルセンは「キング・アーサー」の鷹匠トリスタン役が哀愁ありましたよねえ。この冬公開予定の「カジノロワイヤル」の敵役でも要注目のデ
ンマークの俳優。
←マッツ・ミケルセンです。
デンマーク映画界でいえば変人奇人扱いされるラース・フォン・トリアー監督も私は好きなのぉ~。
「奇跡の海」のラストシーンのそれこそ“奇跡”は生涯の映画ベストシーン30には入ると思うほど感動的なシーンだわ。
そのラース・フォン・トリアーが提唱した映画話法のひとつにドグマというものがありますよね。
<ドグマ映画のための10の戒律>というのがあって、例えば、すべてロケーション撮影によっておこなう、とか、音楽は意図的に使はない(背景にある音楽はよしとする)とか、カメラは手持ちカメラを使うとか、人工的な照明はもちいないとか。
これはラースを中心とした若手監督たちがハリウッド映画に対するアンチテーゼであると同時に、より新しい映画話法を求めて90年代半ばに練り上げた試みですが。
「しあわせな孤独」では音楽を使ってる以外はほぼこのドグマの戒律を守っていたようでしたよ。
だからお話自体がおとぎ話であれ、SFであれ、こういう作り方をすると、役者たちが皮膚感覚で感じられるようになるのがいいですよねえ。
役者の呼吸や体温が直に伝わってくるような気がするの。
「しあわせな孤独」はひとつの偶然の交通事故によって半身不随となる若者とその恋人、加害者となった家族の妻や夫や子供たち、かかわるすべての人々の苦悩が生々しく描かれているの。
事故はあまりにも私たち観客と同じ線上で起きる感じが伝わり、自分の問題として交通事故の悲劇や被害者の立場や加害者の葛藤を受け止めることができるんじゃないかしら。
静かだけどすごく迫ってきます。ひとりひとりの苦悩が。
マッツ・ミケルセンは交通事故の加害者となった妻の夫で医師の役。
だから加害者の婚約者の相談を医師としての立場からも受け止めているうちに、抜き差しならぬ関係になってしまうのね。
そのへんの男と女の関係も面白いですよ~。
首から下がすべて不随になった若者を私は思わずあれが自分の息子なら夫なら、そして自分ならと考えてしまってつらくなってしまった。
でもこの映画はそこで終わらない。悲しみを乗り越えていったさきに再びなにかがあることをぼんやりと示している。そうぼんやりと。
その先にあるものは深い闇のような孤独かもしれないし、そのなかで淡く漂う幸福な瞬間かもしれない。
孤独や哀しみを知るからこそ、幸福や喜びも感じられるのですもの。
そのつつましい映画の姿勢にやられて涙がこぼれてしまったわ。
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コメント
こんばんわっ。
私もこの映画はとても好きです。
映画とは思えない、ものすごい現実的な作り?に
ドキドキしながら入り込んで見てしまいましたー。
演出も良かったんでしょう。
加害者の夫役の俳優さん、とても巧いですねー。
リアル過ぎ。(笑)
投稿: Chocolate | 2006年5月28日 (日) 23時10分
ほんと、リアルでしたよね~。
被害者も、看護婦さんもリアルだったわあ。
加害者になった奥さんと娘もリアルだったあ。
私も車を運転するので、他人事とは思えなかったです。気をつけないとって思いましたよ。
投稿: betty | 2006年5月29日 (月) 10時09分
この映画好きです。何度も借りて観ちゃった過去が。
なんといっても、お医者様役の彼が素敵で恋しちゃいましたね。セクシーです。
勿論、映画としてもお気に入りです。重いんだけど重いまま終わっていない所が良いです。いえいえ、それぞれが抱えていかなければならないものは、永遠に変わらないのかもしれませんが、それでも最後の後味が良いのは、個々に自分の向き合わなければならない問題に向き合う覚悟をしたというか、ありのままの自分の感情や置かれている現状を受け入れていこうと前向きになっているからなのでしょうか。
大人な映画でした。(よね?)
投稿: さち | 2006年5月29日 (月) 19時54分
さちさん
「しわせな孤独」ご覧になってたんですね~。
はい~、大人な映画でしたね。マッツ・ミケルセン、素敵でした。
ああいうタイプって誠実そうだし実直そうだし、安心して相談を持ちかけてるうちに、じょじょに深い色気にハマってしまうのよねえ(*^^*)
投稿: betty | 2006年5月29日 (月) 22時59分
私は被害者の彼の担当の看護師の会話にけっこうじわっときました、厳しいけど真実かなあ。
実直な男の人のほうが関係できるとややこしいですよね。いやいや、私はそんなあ。。
ラブシーンも素敵でした(^^)あのお医者さん役、すごいリアルで画面から引っ張り出せそうでしたよお。
投稿: ジミーガール | 2006年5月31日 (水) 00時32分
この映画の中の人みんな、画面からこっちに出てきてもぜんぜん違和感なかったかもね。
恐るべしデンマークのリアリズムね~。
投稿: betty | 2006年5月31日 (水) 21時02分
あ~この映画、映画として素直に楽しめませんでした。
と言うのも昔の仕事柄、ついつい治療費は?慰謝料は?入院の雑費諸々・・・しまいには後遺障害1級に該当するのかなぁ~なんて。
加害者である奥さん、謝罪の態度があまり見られませんでしたが、これで大丈夫なのかな?と不安になりました。
日本だと事故責任・慰謝料問題で訴訟に発展したりするから~。
ところで、お医者さん役の方ステキですね。
あの役の彼、いいねぇ~。
遊び慣れていない男性が、はまる不倫。いい具合に描かれていたと思います。
投稿: ちゃろ | 2006年6月 3日 (土) 19時13分
ちゃろさん
なるほど。その目線でみると気になるところがいっぱいあるでしょうねえ(笑)
そういえば、加害者の奥さんと夫のあの先生、事故の後に友達といっしょに食事してましたよね。
それどころじゃないだろう~って、あの状況、私には解せなかったの。
食事は当然、とりやめでしょう、日本の感覚だと。
あそこは不思議だったわ~。
実直な男が女に夢中になってしまうの、描かれ方うまいですよね~。
投稿: betty | 2006年6月 3日 (土) 22時24分
>実直な男が女に夢中になってしまうの、
>描かれ方うまいですよね~。
ハイ!そこは、とてもワクワクと観させて頂きましたよ。
こちらにも、あの「うれしい緊張感」が伝わってきました。
でも、あの奥さんや娘さんの立場(夫の本気や父親の家出)を実体験された方には、リアル過ぎてフラッシュ・バック映画になるかもしれませんよねぇ~。
投稿: ちゃろ | 2006年6月 4日 (日) 13時27分