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2006年5月31日 (水)

野生の葦~同性愛の目覚めみずみずしく

0junco8 アンドレ・テシネ監督の映画のなかでこれすごく好きなものです。

テシネ監督は女優を映すと素晴らしいって言われますけど、少年を映しても素晴らしいのね~。

同性愛の男の子もとっても繊細に描いています。

「野生の葦」(94年)

1962年、アルジェリア戦争末期のフランス南西部のいなか町。

アンドレ・テシネ監督の繊細な映像が美しく、印象派の絵画のような光が眩しい。

光が眩しいほど、影も深い。

儚げな映像はもったいなくて、思わずDVDの再生スピードをゆっくりにしてじっと味わいたいぐらい。

そのなかで、人生の意義や悲しみを知り始めたばかりの高校生たちが自分の生き方を手探りしている。

0junco3 勉強もS○Xも、政治活動もなにもかも思い描いたとおりにはいきはしない。

←セルジュとフランソワ

高校の寄宿生のフランソワ、教師の娘マイテと時々映画を観たりする。

でもマイテとはプラトニックなの。

0junco2 ←マイテとアンリ

だってマイテは今は男の子に興味がない。小さいときに父親が母親を殴ってる姿をみて家畜のような女にはなりたくないと思ってるんでしょう。

フランソワのほうは寄宿舎のベッドである晩、 一見粗野で逞しく大人びているセルジュと抱き合ってしまう。0junco5 まるで高校生の通過儀礼であるかのようにこだわりもないセルジュ。

←(^^)

でもフランソワのほうはそれでホモセクシャルに目覚めてしまうのね。

フランソワはアルジェリア出身でアルジェの極右組織を支持するアンリにも興味があったりして。

こうして、勉強には関心がなく体育会系のセルジュと、大學入試試験を控える勉強好きのフランソワと、過激な政治活動も厭わないアンリ、3人の男子高校生たちが不思議な絆でつながりはじめるのね。

フランソワつながりで、マイテも彼らの中に入ってくる。

セルジュとの関係をもってからは鏡を見て自分に「ホモだ ホモだ」と問いかけるフランソワ。

街の靴屋が同性愛者で男と住んでると聞いたフランソワはその靴屋に入っていって、突然ホモセクシャルについての質問をしたりして。

セルジュにしてもアンリにしても、マイテにしても、すでに子どもではない彼らは周囲の事情や心情を察する年齢になっている。

わがままだけでは生きられないことも。人生には悲しみが時々垂れ込めることも。

光が眩い田園風景のなかで、彼らは子どもから大人へのそれぞれのハードルを超えようとしている。

自分をまだなにものとも決められない、子どもと大人の一瞬の隙間は、ほんとうに一瞬だからこそかけがえがなく、儚い色に縁取られているのよね。

大学入試資格試験の日、彼ら4人はトゥー・ルーズの川遊びに出かける。

自分は同性愛なのかそうでないのかと葛藤していたフランソワはついにセルジュに告白する。

また抱き合いたいと。

でもセルジュは拒絶する。

同性愛に目覚める少年をすえたことで、この映画全般にもホモセクシャルな記号がいっぱい散りばめられてるの。

例えば、体育会系のセルジュの上半身裸で運動する躍動感。

短パン姿の男子高校生たちのマット運動。

白いブリーフ一枚で川遊びにこうじる子どもっぽい姿。

それらが映画にアクセントをつけている。

フランソワがどんどんホモセクシャルっぽくなっていく変化もおおしろいなあ。

セルジュのバイクの後ろに乗ってセルジュにしがみついたり、川遊びでセルジュに抱っこされたり。

フランソワの胸の高鳴りが聞こえてきそうで可愛らしいの~。

この映画がとっても名作だなあと思うのは、青春群像にとどまらず、アルジェリア戦争で揺れるフランス社会や60年代の目覚め始めた女たちの価値観の変容もきちっと映しこんでるところかな。

いっぽうでいつも変わることのない大人と子どもの隙間で揺れる若者特有の迷いや痛みや悲しみまでも、普遍的な青春群像として描きこんでいるのね。

だからひとつの時代の人間ドラマとしてもとても良くできていて名作だと思えます。

アンドレ・テシネ監督のなかでも私はいちばんのお気に入りかな。

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コメント

bettyさん
いい映画の紹介ありがとうございました。
今日は家で映画鑑賞デーときめてお菓子食べながらのビデオざんまい。「野生の葦」借りてきました。
フランス映画らしい淡々とした語り口、いいですね。
フランソワが可愛すぎです。顔はハンサムじゃないですよね、でもなんか可愛いですよ。乙女ですよね、いいなあ。
風景も美しくてすこし胸キュンで乙女なワタクシでした。

投稿: Mire | 2006年6月 4日 (日) 18時14分

Mireさん
ひさしぶりにワールドシネマ掲示板にプポーくんの話題など書き込みましたよ|。
どうしてここでプポーくんかというと、プポーくんの映画「いちばん美しい年令」でいっしょに共演している二人が、「野生の葦」のフランソワとマイテなのよ~。
ね、ちょっとそそられるでしょう。
「いちばん美しい年令」見直すべくたった今、借りてきたところでーす。

投稿: betty | 2006年6月 5日 (月) 16時26分

こんにちは~。
まあ~、bettyさん仕事が早い!もう「いちばん美しい年令」を借りて来たのですかー(笑)

この映画、bettyさんが仰るようにキレイな映像でしたよぉ。
「葦」のように、しなやかに振舞えない若者達を包むような、田園風景や川の流れがとても印象に残りました。
ところで、水辺に来ると石を投げるのは万国共通のクセ?なのでしょうかぁ(笑)。
あと数年もしたら、彼等もあの頃を甘酸っぱく思い出すのでしょうね。

投稿: ちゃろ | 2006年6月 5日 (月) 17時12分

>水辺に来ると石を投げるのは万国共通のクセ?なのでしょうかぁ<

ですねえ~(笑)
必ずといっていいほどやってますよね。
子供から大人までね。
石を投げて水面をポンポンと飛んでいくでしょう?
多い人は10回以上撥ねさせれるのね。私は一回でドッポンです。

投稿: betty | 2006年6月 6日 (火) 10時38分

石投げ、あれってコツがあるらしいです。
なるべく平べったい石で横投げにしたらいいとか・・・。

ところでこの映画、2002年に続きが作られたそうです。
(DVDの特典で書いていました)
セルジュがアルジェリアへ行くんだそうです。

投稿: ちゃろ | 2006年6月 6日 (火) 17時41分

ちゃろさん
>ところでこの映画、2002年に続きが作られたそうです。
(DVDの特典で書いていました)<

えーーーーっ、知らなかった~(特典チェックしてなかった)。
観たいわあ。日本で出てるのかしら?
セルジュアルジェリアに行くの?
ということは時代は元祖「野生の葦」とほぼ同じってことかな?それならキャストはぜんぜんちがいますよね?

それとも、キャストが同じで、今、大人になってからアルジェリアに行くということかしら。
フランソワはどうなるのかしら?
いろいろ想像しちゃいますわ。

投稿: betty | 2006年6月 6日 (火) 17時58分

おはようございますぅ~。

え~、この映画の続きですが、セルジュがもう少し大人になってから行くようです。
フランソワもちょっと出演してるようですよん。

日本でDVDが出ているか探しましたが、どうも無さそうです。ガックリ・・・。

投稿: ちゃろ | 2006年6月 7日 (水) 09時52分

テシネ作品は映画館でいくつか観ていましたがこれは観ていなくて、「野性の葦」は前々から気になっていて、先日やっとDVDで観ました。わたしも今までいたテシネ作品の中では一番気に入りました。フランス南西部の田園風景と4人の若者。アルジェリア独立戦争が背景にあり、それが彼らの人生に大きく影響を及ぼしているものの、友情、淡い恋、性への目覚め、そしてラストの川辺のシーン、とても瑞々しく、きっとこれからそれぞれ4人それぞれの決して易しくない人生を歩むのだろうけれど「野性の葦」というタイトルにこめられた監督の思いが伝わるいい作品でした。この映画の設定がアルジェリア戦争終結頃の1962年あたりということですが、第二次大戦終了後も、こうした大陸の植民地支配からの独立戦争という新たな戦いがあり、今も引きずっていますよね。
映画の中でもこうした状況の中で彼らは否応なく自らの「アイデンティティ」と直面せざるを得ない現実が厳としてあるけれど、この頃、日本は敗戦帰国といいつつ(日米安保条約の下で)私たちは平和に暮らしていたわけで、「生きる」ということに対する緊張感がどっかで希薄になっている気がします。映画にしても、ヨーロッパ映画などではこうした緊張感を底辺にもった作品も多く、私が邦画より洋画に引かれる一因でもあるんではないかしらと思います。

投稿: 怜 | 2007年2月26日 (月) 15時09分

日本はどうしても平和ぼけ気味になりますわ~。やはり大陸でよその国と国境を接している国は国境線では日々が緊張ですよね。そこから移民もどんどんやってくるし。

で、海外の映画通は、日本の映画やアニメの、社会性よりも個の趣味にこだわるオタク感や、私小説っぽさがとっても魅力的に映ると聞いたことがあります。

補完作用といいますか・・。


投稿: betty | 2007年2月26日 (月) 20時24分

ないものねだり、隣の芝生は素敵、なんですね。おかれた状況や事情、立っている位置によって評価も違ってくるものですね。ありがとうございます。

投稿: 怜 | 2007年2月27日 (火) 14時27分

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