戦場のアリア
(札幌ファクトリー・ユナイテッドシネマにて)
最前線で素晴らしいコンサートを見るというのは誰も経験できないものでしょう。
それを経験させてもらえる映画でした。
こんなことが本当にあったなんて。
素晴らしく臨場感があって、まるでその前線のなかに自分もいたかのよう。
複雑きわまりない第一次世界大戦下。
フランス北部の戦線でフランス軍、ドイツ軍、イギリス軍(スコットランド兵)がそれぞれの塹壕を掘って対峙している。
戦争シーンは初めのほうだけなのでご安心ください。
その神父役が「リトル・ダンサー」のビリー少年のお父さんをやっていたゲイリー・ルイスなのよ。
この映画でいちばん私のツボだった(元来、渋いオヤジ好きなもので)。
堅物なだけではなくてユーモアもあったりしてね。
この神父がこの映画の“ほんとうにあった奇跡”を引き出すんですわ。
塹壕の中でそれぞれの兵士たちがイブを祝おうとする。
神父がバグパイプを吹き始める。
戦場に響くスコットランドの音色。
その音はフランス兵士の心もドイツ兵士の心もあたためていく。
やがてドイツの塹壕の上にたくさんのクリスマスツリーが置かれる、続いて美しいテノールの歌声がきこえてくる。
彼はドイツ軍兵士でテノール歌手。
死体が転がる最前線が素晴らしいコンサート会場に変わる。
やがてささやかな聖夜の交流がはじまる・・・・。
言葉の壁を越えるのは、故郷に残してきた家族への思いであり、生きたいという痛切な思いなのね。
互いの家族の写真を見せ合い、談笑する。
神父が祈りを捧げる。
生きてたらいつか再会しよう、フランスのドイツのスコットランドの兵士たちが約束する。
しかしこの一時を共にした相手、クリスマスが終わったらまた殺し合うの?!
同じ歌を聴き涙した、同じ心を持った相手を殺せますか?殺せないでしょう。
さて、その素晴らしい出来事の後、どうなるのか・・
そしてスコットランドの神父は最後にどうするか?
ずっしりきます。
何が正しくて何が間違っているのか・・・、人の心に殺してもいいと思わせるほどの憎しみを植えつけるのはなんなのか?
素晴らしい感動的な奇跡の実話のなかに、その答えがすこしは見えるよね?
| 固定リンク
« かもめ食堂 | トップページ | 親切なクムジャさん »




コメント
こんにちわっ。
TBありがとうございました~
第一次世界大戦って正直あんまりわからないんですが、
(日本人ってやっぱり第二次世界大戦ですよね)
こーんな素晴らしいことがあったんですね。
3カ国の兵士達の心の交流にには感動でした。
投稿: Chocolate | 2006年5月17日 (水) 13時58分
Chocolateさん
3カ国で順番に音楽の応酬をするところ、すごく感動しました。
戦争なんて・・・くそくらえって思いましたよ~。
投稿: betty | 2006年5月17日 (水) 22時43分
実際にあった事なんですね。其れゆえ心にズシッときました。
各国の兵士は、お互い同じような思いだったから、心を共有しあえたんでしょうか。
いつの世も、戦争を始めるのは一部の為政者で、実際戦うのは一般庶民なのよねぇ。
スコットランドの神父さん、最後の最後で彼の「神は死んだ」ような気がしました。観ていて辛かったです。
投稿: ちゃろ | 2006年5月26日 (金) 16時40分
>ちゃろさん
>スコットランドの神父さん、最後の最後で彼の「神は死んだ」ような気がしました。観ていて辛かったです。<
ですよね~、神というか、彼が属する教会にたいし絶望したでしょうね~。
人間の都合でいかようにも利用される神・・っていったいなんなの?
あ、やっぱり神は死んでしまったかな。
けっこうファンタジーっぽくて甘い感動映画かと思いきや、「人間とはなんぞや?」「人間と戦争」という難問に行ききってしまう映画でした。
時間が経つほどずっしりとくる映画なようで、観終わった直後より今のほうがさらに印象的です。
投稿: betty | 2006年5月26日 (金) 18時15分