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2006年5月 7日 (日)

ウィスキー

Wisuky 去年忘れがたい映画の一本がウルグアイの映画「ウィスキー」ですう~。

面白くってしょうがなかった。

それでいてちょっとペーソス。人生の苦さもチラリ。

←男二人とおんな一人の映画はたいていの場合美男美女と決まってるけど、この映画はこ~んな冴えない中年たちなの。

ウルグアイの首都モンテビデオで靴下工場を営むハコボという中年過ぎの男のもとにブラジルで同じく靴下工場を営み成功しているエルマンという弟がやってくる。

母の葬式のためなのね。

独り身のハコボは工場で働くマルタに妻の代役をやってもらおうと考える。兄弟にたいする見栄よね。

見栄を張らなきゃならないほど普段は冴えないんだもん。

いつも仏頂面でね、愛想ひとつ出来ないタイプ。商売も時流に乗り遅れる不器用もん。

母の介護を長年続けて独身、仕事もプライベートも楽しいことなさげな顔つきなの。

いっぽう弟のほうはブラジルで成功して美しい妻と娘たちにも恵まれハッピーさが全身から溢れてるような男。

調子もいいし、仕事上も家庭生活もたぶんうまくのりきっていくタイプね。

ハコボの冴えない工場で働くマルタは若い従業員たちのお局的な中年女。これまた冴えないんだあ~。

ハコボ同様、楽しいこともなさげない仏頂面だもん。

ウルグアイに行くと仏頂面の人しかいないのかしらと勘違いしちゃうぐらい、二人ともぶっすううーーとしてるの。

ところがさ、ハコボが弟とマルタをつれてサッカーを観にいくと途端にヘンシンっ。

声を上げて応援、野次飛ばしたり。さすが南米。サッカーのときだけハコボもラテンのノリなんだなあ。

でもこういうタイプ、日本にもいっぱいいるでしょう。

妻や子どもにとってはすこしも楽しくない、精彩を欠いた男が、スポーツ観戦のときだけ生き生きのノリノリ~になっちゃうっていうの。

その3人がたまたまいっしょに小旅行に出て、その個性の違いが珍妙なハーモニーを奏でる。

それが足の裏をこちょこちょとくすぐられるみたいな可笑しさっていうのかしら。

3人のちろちろと感情が揺れるのがすごく微妙でくすぐるのお~。

弟エルマンのほうは歌は上手いし、ジョークもうまい。マルタがその刺激を受けるのごもっとも。

兄弟の微かなライバル心や気遣い、冴えない中年女に芽生えるちらっとゆれる乙女心・・、そこはかとした表現が上手すぎて、あ~ん、くすぐられる。

どこまで計算なのかわからないわよ。

それが逆にまったく新しい映画体験になる。

考えてみれば人間て、無表情なままけっこうおかしなことをやってるもんだなあと、自分の行動も振り返ってみると可笑しいでしょう。

誰にみられてるわけじゃなければ、へんてこな行動も顔色ひとつかえずにやってますよね。

それをカメラにおさめたら案外おかしいんだろうね。

そして女は女優という言葉通り、人の目を意識したとき、女はぐんぐん綺麗になるの。

マルタはぐんぐん綺麗になっていく。

明るい弟エルマンの前でかつてのキラキラしていた少女時代に戻っていくようなのね。

そこでマルタはどうするの?はてさてどうなりますでしょう?

単館系映画を見慣れていない人にとっては始めの30分ぐらいの単調さは観ていて眠くなるかもね。ほんとうはそこが単調な日常をすごくよく活写してると思うんだけど。

そこだけちょっと気をつければ、誰もがおもしろく観られる傑作ですよ。

去年のマイベスト5に入る映画です。

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コメント

ストーカーのごとくコメントしてます。(笑)

もうベティさん、私のツボ映画ですよ、コレ。
2年ぐらい前に映画祭で見たんだけど、
実は私が南米にハマッたきっかけってコレなんですよー。

この作品は人間としての面白さのツボをきっちり抑えてはいるんだけど、
ゆる~い感じがすごく良かったです。

弟に対するつまらない小さな見栄から始まったお話。
マルタがどんどんキレイになっていくのも良かったですね。
あの終わり方もすごく好きですよ。

投稿: chocolate | 2006年5月 8日 (月) 11時10分

Chocolateさん
これで南米にはまったわけね~、すっごい通好みですよね、Chocolateさんて。
Chocolateさんのブログにはいつもフランス映画祭とかイタリア映画祭とか一足早く各国の映画をご覧になってのせてるでしょう。
も~~ツボだらけ。

この映画も映画祭で観てたとはさすがですねえ~。
あの終わり方いいですよね。いろんなふうに考えられて。
ほんとオモシロかったねえ~。

投稿: betty | 2006年5月 8日 (月) 13時10分

bettyさん、こんにちはー。

最初、「ウイスキー」というタイトルに惹かれ予備知識もなく観た映画だったので、当りかトホホかの賭けでした。
結果は当り~(笑)
ハコボ・エルマン・マルタこの3人、それぞれいい味を出していましたね。
私はマルタはハコボの事が好きだったんじゃないかしら、って思ったんだけど・・・。

ところで空港のシーンで、アルゼンチンのでかい国旗をマントにした輩がいましたが、あれはサッカー応援の人だったのかなぁ?
淡々とした作品ですが、それがよけい面白さを引き出している映画だったと思います。

投稿: ちゃろ | 2006年5月10日 (水) 18時21分

エルマンを知る前のマルタは、ハコボの母親が死んで一人ぼっちになったところで、内心すこし、この人と結婚したらどうかな?なーんて思ったかもしれないですよね~

でも、エルマンと会って、もっと違う世界があることにあらためて気がつき、飛んでみようとしたんだと思いました。

マルタはあのお金をもらってブラジルへ行ったんじゃないかしら?
で、何ヶ月かしたある朝、工場のシャッターの前に以前と変わらない姿でなにごともなかったように立ってるとか?

投稿: betty | 2006年5月10日 (水) 23時37分

bettyさ~ん、こんにちはー。

bettyさんは、マルタはブラジルへ行ったと思われたのですね。
映画の時隣に座っていたご夫婦も「たぶん、ブラジルへ行ったんじゃないか~」と言っていました。

う~む、やはりそうなのかなぁ~。

私は、マルタは最後までハコボの事が好きだったと思っていました。(エルマンにクラクラした事もあったけどネ)
で、旅の終わりにハコボからお土産(お金)を渡されて、マルタは喜んだと思ったのよ~「ハコボが選んだお土産だわ。」って、まさかお金だとは思ってないでしょうし・・・。
家でお土産の中身がお金だと知って、マルタは「やはり私は単なる代役でしかなかったのね」とショックを受けるの。精神的ダメージで次の日は出勤できなかった。

とまぁ~こんな風に結論づけていたのです。
``r(^^;)ポリポリ

投稿: ちゃろ | 2006年5月11日 (木) 17時25分

なるほど。すっごく新しい見方ですねえ~。
ということは、ホテルで最後の夜に、エルマンの部屋に行くマルタは、そこでエルマンにハコボとのことを打ち明け、相談にのってもらおうとしたのかしら?

なくもないですよね。

だから面白いのよね~他の人の感想を聞くのが。

投稿: betty | 2006年5月11日 (木) 21時32分

今日NHKの衛星放送で放映されるのですね。みれるかな?今日は息子の友達が、人の誕生日を肴に集まってくると言うので・・・・うちは録画できないし・・・
誰かに録画頼んでおこう

投稿: taba | 2006年5月13日 (土) 07時23分

あら~やってたんですか!
今日は一日中ステンドグラスやってて、疲れて帰ってきてバタンキューしてました~。録画したかったなあ~。

投稿: betty | 2006年5月13日 (土) 22時40分

TBありがとう。
まあ、ビデオでもね、最初に寝ちゃって、なんだか、わかんなかった人、結構、いるでしょうね。
あと、導入部の、工場の日常、何回も何回も繰り返すじゃないですか。
テープの故障だと思って、見るのやめちゃった人、いるかも(笑)

投稿: kimion20002000 | 2006年5月17日 (水) 09時53分

kimionさん

>導入部の、工場の日常、何回も何回も繰り返すじゃないですか。
テープの故障だと思って、見るのやめちゃった人、いるかも(笑)<

あはは~、ほんとね。
あれが後々いきてくるんですけどね~。
普段“起承転結くっきりしたわかりやすい写実的なストーリー追っかけ映画”ばっかりみてたら、たまにこんな映画にぶつかるとうろたえてしまうかもですね~。

投稿: betty | 2006年5月17日 (水) 10時25分

はじめまして!
いろいろと記事を拝見させていただきました。
楽しいですね☆

この作品は、なんとな~く手に取ってみたものだったのですが、本当によかった。
スローなんだけど、ズシッとした重みがあって、マイベストに入れたい映画のひとつとなりました。

TBさせていただきましたのでよろしくお願いします。
また遊びにきま~す!

投稿: abricot | 2006年11月13日 (月) 11時40分

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