るにん 熟女な腰巻とバレエなふんどし
「るにん」 公式サイト
奥田瑛二監督ですから~、エロチシズムを芸術表現にすべく努力のあとはなかなかなもの。
前作「少女」では絵としての美しさ、様式美はわかるんだけど、入り込むのにすこし時間がかかってしまったのね。
だから「るにん」もどうしようかと思ってたんだけど、バレエダンサーの西島千博が出てるでしょう、やっぱり観たくなちゃと劇場に走りましたよ~。
するとどうなの、意外にもいいんだわ、これが。
時は江戸時代、場所は八丈島、罪を犯した者たちが島流しになって送られてゆくところ。
孤島のなかで、「生きたい」という思いが海の風にふきさらされ、「自由になりたい」という希望が波にもまれ、「性」のエネルギーだけが島の木々にからまってる。。。
前半は映像で様式美を追っかけすぎたのか絵的には素晴らしいのだけど、人間に入っていくことがなかなかできないのよね。
こりゃあ「少女」の二の舞かいなと不安におもっていたら、中盤以降どんどん人間くさくなってきて、ぐいぐいひっぱられはじめるんだわ。
人間の“生きたい”という本能に根ざした狂おしいほどの「性」もリアルに感じられるようになっていくのね。
ここではお目当てだった西島千博の映画初出演での奮闘振りを語りた~い。
西島千博さん、真に品よくおっとりして優美な王子様役が多いプリンシパルだけど、映画ではすごい汚れ役なの。
端正な顔は不精ひげもじゃもじゃで隠し、頭もぼさぼさ、煮しまった着物に、ふんどしビラビラさせて、全体に煤けてます。
しかも博打の罪で島流しになるような男だから退廃的で暗いの。
「あんたのなかには深い闇がある。俺はその闇に落ちていくとき安心するんだ・・」という台詞にはときめいてしまったわよ。
ふんどし一丁で溺れかけたり、女に犯されそうになったり・・・、王子様しか知らない年若いバレエ少女がこの映画の西島さんをみたらきっとびっくりして拒絶しちゃうかもね。
へへへ・・・そういうところがオバサンは逆にたまらんのよ。
熟女な松坂慶子の下半身を包む真っ赤な腰巻の艶、
バレエな西島千博の下半身を包む白いふんどしの艶、
監督はオンナの肉体にかけては鬼才ですが、オトコの肉体にもまた並々ならぬ関心をもってるようで・・・だからこの映画で西島千博に白羽の矢をたてたと思うの、納得うぅ。
クライマックスでは西島千博の体をひん剥いて、裸にして、ハシゴにつるして、愛に殉死する男のエロチシズムを焼き付けたかったんでしょう、監督は。
まさにそのクライマックスシーンの立ち回りではバレエで鍛えた肉体が遺憾なく発揮され、情熱的な西島千博の独り舞台です。
女の包容する愛と、男の命がけの愛、というところに着地するので案外見終わった後は感動だったりして。
(話の途中ですが、西島千博さんの舞台「ジャン・コクトー~堕天使の恋」の映像はこちらです)
ひとつ要らないものがあって残念だったのは、監督が俳優として出てくるシーンよ。笑っちゃうわよ、もー、芝居やりすぎなんだもの、
顔だけでもすごくクドイ奥田さんが、自己ちゅーな演技全開で暑苦しいのなんのって。
そのてんは、初出演にしてはきちんと抑制した自然な演技を心がけたことがよみとれる西島千博さんの謙虚な芝居のほうが監督よりず~~~~~っといい。
と言っておきたいわ。
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るにんせん 著者:團 紀彦 |
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