« 欲望の法則 | トップページ | Plata Quemada »

2006年3月10日 (金)

ブエノスアイレスの夜

ブエノスアイレスの夜 DVD ブエノスアイレスの夜

販売元:アット・エンタテインメント
発売日:2005/06/24

Amazon.co.jpで詳細を確認する

※完全ネタバレです、ご注意を※

ガエル・ガルシア・ベルナルとセシリア・ロスのアルゼンチン映画。

かなり衝撃的です。劇場で観終わったときすぐには座席から立ち上がれなくなってました。

セシリア・ロスの旦那さまで世界的なアーティストのフィト・パエスの初監督作品。

だもんだからフィト・パエス夫人であるセシリア・ロスが頑張りまくってます。

内助の功というやつね。

ところが、トラウマのために男とのS○Xはできず、自分で自分の性を慰めるというエロチックで哀しい演技は似合っているとは言い難く・・。

篠田正浩監督のために頑張る岩下志麻のようなわけにはいかなかったみたい。

セシリア・ロスはエロティシズムや病的な異常さは似つかわしくないんだもん。

でもガエル・ガルシア・ベルナルが持ち前の繊細でしなやかな演技で良いんだわ~。

1970年代のアルゼンチンの軍事政権下で行われた思想狩りの人間狩り。

ある日突然、軍や警察によって連衡され監禁されるんです。たいしたことでもない理由で連れて行かれた人も夥しい。

戻ってきた人もいれば二度と戻ってこなかった人も・・。

20年前に監禁されたことのある女性(セシリア・ロス)の、20年後の現在から物語ははじまる。

20年前のことがトラウマとなり、通常の性関係をもてない女性が若い男を買って部屋に呼び、そこで本を読ませる。

彼の朗読の声を聞きながら女は自分を慰める。

女として受けた傷の痛みや悲しみ、その後の孤独感などが全部感じられる場面となるはずが、セシリア・ロスではどーもいまひとつなんだけどお。

彼女は普段は海外に住んでバリバリ仕事をしているんだけど、たまたま父親の危篤でブエノスアイレスの実家にきているのね。

そこで、たまたま呼んだ男がガエル・ガルシア・ベルナルなの。

だんだん惹かれあっていく二人。声だけのはずが何度かあってるうちに結ばれちゃうのよ。

年は親子ほども離れてるけど、それによって女がトラウマを癒されたんでしょうね。生き生きとして、男も本気となればそれはそれでおめでたいじゃないですか~。

といきたいところが、それがと、と、とんでもない過ちだったの。

彼女の妹や知り合いが、彼女が監禁されてた頃のことをしらべて、ある事実をつかんでしまうんですよ。

なんと、ガエルくんはセシリアロスが軍に連行されたときに暴行をうけてできてしまった子供だった(ガーン)。

ここからはいくらネタバレとは断っても明かすわけにはいきませ~ん。

ふたりはどうなるどうなる。どうするどうする。

(軍事政権に終止符が打たれてまもなく作られたアルゼンチン映画の名作に「オフィシャル・ストーリー」(アカデミー賞外国映画賞受賞)というのがあるんだけど、その映画では軍事政権時代に、子供ができない夫婦が子供をもらうの。喜んで愛情一杯にその子を育てる妻。

ところが軍事政権が終わってからは、連行された家族を探す人たちが街を練り歩くの。

それがきっかけで、子供をわが子として育てていた妻が、自分の子供は、その時代に監禁された女性が監禁先で出産した赤ん坊だったとわかるの・・・)

「ブエノスアイレスの夜」を観て「オフィシャルストーリー」を思い出したのでした。

軍事政権の傷跡はそれが終わってもなお深いんですよねえ。

その傷跡よって、悲劇のヒロインはセシリア・ロスかと思ったら、終盤、悲劇の主人公はガエルくんへところっと変わるのね。

だって愛した女が自分を生んでくれた女性だったんだよ。そのために彼は父親を○○してしまうんだもの。

ガエルくんは等身大の若者の演じ方が繊細で柔軟なんですよねえ。素晴らしい。

ほんとにガエルくんはいい俳優ですよね~。

泣き崩れるガエルくんを抱きとめるセシリア・ロスの表情にはしでにトラウマを乗り越えた人の毅然とした強さが感じられる。

このへんの表情、存在感は、息子のためにしっかりしようと思う母の顔だから。

息子によってトラウマを克服し、息子を見舞った悲劇に毅然として立ち向かおうとする母。

あ~~せつないっ。

セシリア・ロスは官能的なシーンはいまいちだけど、最後はすごく説得力を持ちえてしまうのね~。

過去を認め許し、未来を見つめていかねばという思いは確かに伝わってくる。

衝撃的だけど、せつなく静かに前を見つめるエンディングは重たい余韻が残る。。

|

« 欲望の法則 | トップページ | Plata Quemada »

コメント

Bettyさん
「ブエノスアイレスの夜」はまだ東京にいたときで、観にいったのが昨日のように思い出してしまいました。ガエルくんの「モーターサイクル・ダイアリーズ」をみてそれでガエルくんいいなあと思ってファンになり、「ブエノスアイレスの夜」もその人気に便乗したように公開されたんですよね。
せつなかったです。
ベッドでセシリア・ロスに抱かれて眠っているガエルくんが可愛かったです。

投稿: ジミーガール | 2006年2月24日 (金) 00時03分

うんうん、ジミーガールさんが「モーターサイクル~」でガエルくんにずぼっといったのはすごかったですよね~覚えております。

ガエルくんのすごさはしなやかな自然体にあるといつも感心しっぱなしです。
うまいですよね~。

この映画では最後に彼に面会にいったセシリアと抱き合うところが胸にしみましたわ。

投稿: betty | 2006年2月28日 (火) 00時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/44348/1211875

この記事へのトラックバック一覧です: ブエノスアイレスの夜:

» ブエノスアイレスの夜/フィト・パエス [文学な?ブログ]
お気に入りの役者ガエル・ガルシア・ベルナルが出ているので観ました。セシリア・ロスはオール・アバウト・マイ・マザーで感動しましたが、またしても感動!とても深い作品です。 カルメン(セシリア・ロス)は、愛人として雇ったグスタボ(ガルシア・ベルナル)に官能小説を朗読をさせます。カルメンは壁一枚挟んだエロティックな声に心を揺さぶられますが、かつての悲惨な体験から人と触れ合うことに抵抗があります。しかし、あるときその一線を超え、二人は関係を結びます。 深く愛し合う二人ですが、その後、驚愕の事実が明... [続きを読む]

受信: 2006年7月 9日 (日) 18時09分

» ブエノスアイレスの夜 [cinema note+]
またもや観てしまった、ガエルくん映画。 今回のガエルくんは、かわい子ちゃん路線でした。 ストーリーは母と子の禁断の恋なんだけど、うーん、いまいちインパクトに欠けた。 いちいち大げさな効果音が入ったりして、... [続きを読む]

受信: 2006年7月12日 (水) 10時19分

» 『ブエノスアイレスの夜』 [*Sweet Days*  ~movie,music etc...~]
ブエノスアイレスの夜 / アット・エンタテインメント スコア選択: ★★★   ガエル・ガルシア・ベルナル主演の官能的な作品。 20年前にブエノスアイレスで政治犯として独房に10ヶ月監禁されたという、忌まわしい過去のトラウマの為に、それ以来決して異性と触れ合う事の出来ない女、カルメン。アルゼンチンから逃げるようにスペインで暮らしていた彼女は、父親の容態の悪化により一時的に実家に帰ってくる。他人の性交渉の声にしか興奮を得られない彼女は、ブエノスアイレスで、ある青年の声に特に強く惹かれ... [続きを読む]

受信: 2006年7月12日 (水) 12時57分

» ブエノスアイレスの夜 [I am invincible !]
父の容態が悪化し、カルメン(セシリア・ロス)は5年ぶりに実家に戻って来た。 どこか人を受け入れない冷たさのある彼女は、2週間の滞在予定で、アパートを借りる。 何故実家に泊まらないのか。 それは彼女の変わった性癖にあった。 愛人紹介所の電話で聞いた男の声に、彼..... [続きを読む]

受信: 2006年7月12日 (水) 18時48分

» ブエノスアイレスの夜/vidas privadas [amapola]
1976年、アルゼンチンで起こった軍事クーデターにより、カルメン(セシリア・ロス)は、ジャーナリストの夫を殺され、自らも1年間に及ぶ拷問を受けた。 軍に解放された後、国を捨てスペインに亡命したカルメンだが、死期がせまる父親の財産分与の為、20年ぶりに祖国....... [続きを読む]

受信: 2006年7月12日 (水) 20時14分

» ブエノスアイレスの夜 [マンボな毎日]
ブエノスアイレスの夜監督:フィト・パエス出演:セシリア・ロス,ガエル・ガルシア・ベルナル,ドロレス・フォンシ,カローラ・レイナ,チュンチューナ・ヴィラファーネStory『モーターサイクル・ダイアリーズ』のガエル・ガル...... [続きを読む]

受信: 2006年7月12日 (水) 22時11分

» ブエノスアイレスの夜 [レンタルだけど映画好き ]
ドラマ 2001年 アルゼンチン/スペイン 監督 フィト・パエス 出演 セシリア・ロス/ガエル・ガルシア・ベルナル/ルイス・シエンブロウスキー/ドロレス・フォンシ/カローラ・レイナ/エクトル・アルテリオ/チュンチューナ・ヴィラファーネ/リト・クルス 原題 VIDAS PRIVADAS 孤独の果てに、あなたがいた――。 あらすじ 父の危篤で20年ぶりにブエノスアイレスへ帰国したカルメンは受話器越しに偶然聞いた青年グスタボの声に、官能を覚えた。拷問された過去から身体を触れ合う事も人を愛する... [続きを読む]

受信: 2006年7月13日 (木) 20時48分

» 【ブエノスアイレスの夜】 [ココアのお部屋]
セシリア・ロス、ガエル・ガルシア・ベルナル出演の ヒューマン?ラブストーリー。 公開日:12月11日 ☆ストーリー☆ カルメン、42歳。美しく有能な彼女。 故郷から遠く離れたマドリードにたった一人住んでいたが、 父の危篤の知らせを受けて20年ぶりに故....... [続きを読む]

受信: 2006年7月15日 (土) 15時20分

» Vidas privadas - ブエノスアイレスの夜 [el rincón del aixa]
Fito Páezネタの続きです。ガエル・ガルシア・ベルナル&セシリア・ロス主演の「ブエノスアイレスの夜」。 「ビハインド・ザ・サン」と同時に購入。買ってから気づきましたが、監督がFito Páez。この人は歌手です。... [続きを読む]

受信: 2006年8月 1日 (火) 14時03分

« 欲望の法則 | トップページ | Plata Quemada »