ブエノスアイレスの夜
|
ブエノスアイレスの夜 販売元:アット・エンタテインメント |
ガエル・ガルシア・ベルナルとセシリア・ロスのアルゼンチン映画。
かなり衝撃的です。劇場で観終わったときすぐには座席から立ち上がれなくなってました。
セシリア・ロスの旦那さまで世界的なアーティストのフィト・パエスの初監督作品。
だもんだからフィト・パエス夫人であるセシリア・ロスが頑張りまくってます。
内助の功というやつね。
ところが、トラウマのために男とのS○Xはできず、自分で自分の性を慰めるというエロチックで哀しい演技は似合っているとは言い難く・・。
篠田正浩監督のために頑張る岩下志麻のようなわけにはいかなかったみたい。
セシリア・ロスはエロティシズムや病的な異常さは似つかわしくないんだもん。
でもガエル・ガルシア・ベルナルが持ち前の繊細でしなやかな演技で良いんだわ~。
1970年代のアルゼンチンの軍事政権下で行われた思想狩りの人間狩り。
ある日突然、軍や警察によって連衡され監禁されるんです。たいしたことでもない理由で連れて行かれた人も夥しい。
戻ってきた人もいれば二度と戻ってこなかった人も・・。
20年前に監禁されたことのある女性(セシリア・ロス)の、20年後の現在から物語ははじまる。
20年前のことがトラウマとなり、通常の性関係をもてない女性が若い男を買って部屋に呼び、そこで本を読ませる。
彼の朗読の声を聞きながら女は自分を慰める。
女として受けた傷の痛みや悲しみ、その後の孤独感などが全部感じられる場面となるはずが、セシリア・ロスではどーもいまひとつなんだけどお。
彼女は普段は海外に住んでバリバリ仕事をしているんだけど、たまたま父親の危篤でブエノスアイレスの実家にきているのね。
そこで、たまたま呼んだ男がガエル・ガルシア・ベルナルなの。
だんだん惹かれあっていく二人。声だけのはずが何度かあってるうちに結ばれちゃうのよ。
年は親子ほども離れてるけど、それによって女がトラウマを癒されたんでしょうね。生き生きとして、男も本気となればそれはそれでおめでたいじゃないですか~。
といきたいところが、それがと、と、とんでもない過ちだったの。
彼女の妹や知り合いが、彼女が監禁されてた頃のことをしらべて、ある事実をつかんでしまうんですよ。
なんと、ガエルくんはセシリアロスが軍に連行されたときに暴行をうけてできてしまった子供だった(ガーン)。
ここからはいくらネタバレとは断っても明かすわけにはいきませ~ん。
ふたりはどうなるどうなる。どうするどうする。
(軍事政権に終止符が打たれてまもなく作られたアルゼンチン映画の名作に「オフィシャル・ストーリー」(アカデミー賞外国映画賞受賞)というのがあるんだけど、その映画では軍事政権時代に、子供ができない夫婦が子供をもらうの。喜んで愛情一杯にその子を育てる妻。
ところが軍事政権が終わってからは、連行された家族を探す人たちが街を練り歩くの。
それがきっかけで、子供をわが子として育てていた妻が、自分の子供は、その時代に監禁された女性が監禁先で出産した赤ん坊だったとわかるの・・・)
「ブエノスアイレスの夜」を観て「オフィシャルストーリー」を思い出したのでした。
軍事政権の傷跡はそれが終わってもなお深いんですよねえ。
その傷跡よって、悲劇のヒロインはセシリア・ロスかと思ったら、終盤、悲劇の主人公はガエルくんへところっと変わるのね。
だって愛した女が自分を生んでくれた女性だったんだよ。そのために彼は父親を○○してしまうんだもの。
ガエルくんは等身大の若者の演じ方が繊細で柔軟なんですよねえ。素晴らしい。
ほんとにガエルくんはいい俳優ですよね~。
泣き崩れるガエルくんを抱きとめるセシリア・ロスの表情にはしでにトラウマを乗り越えた人の毅然とした強さが感じられる。
このへんの表情、存在感は、息子のためにしっかりしようと思う母の顔だから。
息子によってトラウマを克服し、息子を見舞った悲劇に毅然として立ち向かおうとする母。
あ~~せつないっ。
セシリア・ロスは官能的なシーンはいまいちだけど、最後はすごく説得力を持ちえてしまうのね~。
過去を認め許し、未来を見つめていかねばという思いは確かに伝わってくる。
衝撃的だけど、せつなく静かに前を見つめるエンディングは重たい余韻が残る。。
| 固定リンク

コメント
Bettyさん
「ブエノスアイレスの夜」はまだ東京にいたときで、観にいったのが昨日のように思い出してしまいました。ガエルくんの「モーターサイクル・ダイアリーズ」をみてそれでガエルくんいいなあと思ってファンになり、「ブエノスアイレスの夜」もその人気に便乗したように公開されたんですよね。
せつなかったです。
ベッドでセシリア・ロスに抱かれて眠っているガエルくんが可愛かったです。
投稿: ジミーガール | 2006年2月24日 (金) 00時03分
うんうん、ジミーガールさんが「モーターサイクル~」でガエルくんにずぼっといったのはすごかったですよね~覚えております。
ガエルくんのすごさはしなやかな自然体にあるといつも感心しっぱなしです。
うまいですよね~。
この映画では最後に彼に面会にいったセシリアと抱き合うところが胸にしみましたわ。
投稿: betty | 2006年2月28日 (火) 00時57分