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2006年3月14日 (火)

傷ついた男

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「傷ついた男」1983年の作品。

パトリス・シェロー監督。

「インティマシー~親密」を観たあとにこの83年の作品がどうしても観たくなってオークションでゲット。

ジャン・ユーグ・アングラードはこの映画のアンリという役柄の年齢の設定がわかりにくいのだけど、どうみても少年の雰囲気。

線が細くナイーブな風情は夜の公衆トイレにひとりで入ったらあぶないタイプだ。

Objecthommo1 案の定、アンリはトイレで男をうちのめしたいた粗暴な中年男ジャンに、とつぜん抱かれる。

そのことをきっかけとして、怠惰で無為な日常を送っていたアンリが狂おしいまでになにかにかりたてられジャンを探し回り始める。

夜毎町を徘徊し、ジャンの姿を探すアンリ。

Objecthommo21 その途中で男に抱かれ、だんだん積極的に男の性をうけいれてゆくようになるアンリ。

その姿はまるで自分の半身を探すかのように必死で痛々しい。

男の前に横たわり、下半身をさらすアンリ。

赤裸々で狂おしいその姿をパトリス・シェローはすこしの容赦もなく映しとっていく。

それはまるで、アンリがほんとうのアンリであるためになされる修行でもあるかのようだ。

彼が狂熱に浮かれて探し回るジャンは、粗暴でエロチックで破滅的な男だ。

1983_l_homme_blesseそれまで鬱々として過ごしていたおとなしいだけの若者アンリのなかに本来あるはずのもうひとりのアンリの投影がジャンなのかもしれない。

若者は一人前になるために自分の半身を狂わんばかりに探し回るのかもしれない。

ジャン・ユーグ・アングラードの繊細な演技がすごい。

皮むきで皮膚を一枚剥ぎ取るぐらいのアンリの痛みを表現している。

おとなしい表情は能面みたい。激情を能面の下に湛えている。

そんなアンリとジャンが最後に・・・(と、ここはネタバレなし)。

83年の作品、けっして綺麗に描かれた同性愛ではないです。

でも男だろうが女だろうが、肉体をつきつめていったさきに純化されてみえてくるものを問題にしてくるヨーロッパの成熟をたぶんに感じることができるの。

映画人も映画ファンも目線はすでにそこまでいってるのに(20年以上前ですが)、アメリカではいまだに・・・というところがハリウッド映画がここ数年凋落してきているいちばんの原因じゃないかな。

綺麗な映画でも感動的な映画でもないので万人向けではないことはたしか。

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コメント

この映画の脚本はセザール脚本賞を受賞したんですよね。たしか。
シェローと共同で脚本を書いたエルヴェ・ギベールはエイズで亡くなったのですが、彼の著書「僕を救ってくれなかった友へ」読まれましたか。フォト・ジャーナリストだったのですが、エイズにかかってからエッセーや小説を発表して、私は彼にとても共鳴でき、翻訳されている彼の作品は大抵読みました。フランソワ・オゾンの「僕を葬る」を観たとき、とてもエルヴェ・ギベールと重なるものを感じたのですが、パンフレットを読むとオゾンは『この作品を作るにあたってエルヴェ・ギールの生き方に僕はとても共鳴した』という内容のことを話してました。私はエルヴェ。ギベールを知ってからこの作品をしり早速レンタルして見ました。ラストシーンのジャン・ユーグの演技は鳥肌が立つほど、「声が得なかった。勤務先からのメールなので本のタイトルや日本語表記など少し間違っているかも知れません。ご容赦ください。

投稿: 怜 | 2007年2月 8日 (木) 16時32分

怜さん
素敵な情報をありがとうございます。
エルヴェ・ギベールの著作のことはぜんぜん知りませんでした。
ぜひ読んでみたいです。
Amazon等でまず「僕を救ってくれなかった友へ」探してみますね。
「傷ついた男」、とても深い映画ですよね。
同性愛を題材にしてるけど、人間の肉体そのものに宿る実存にまで思いめぐらせさせてくれるところがすごいと思い、打ちのめされました。
この映画も、エルヴェ・ギベールを読むことでもっと理解が深まるかしら。
とっても楽しみです。
さっそく探してみます。
どうもありがとうぞあいます♪

投稿: betty | 2007年2月 8日 (木) 20時57分

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