2012年4月18日 (水)

バトルシップ~古き良き映画へのオマージュに溢れ・・・

久しぶりの記事更新が「バトルシップ」になるとは。いやはや、だって面白かったんですよ。

「アーティスト」も「戦火の馬」も「ドライヴ」も良かったんですが、そちらは多くの評論家も褒める作品ですからここで書く新鮮味は乏しいのでとりあえずスルーして

で、「バトルシップ」ですから。どんだけ(笑)

「バトルシップ」は映画を愛する心が結集してできた“アナログ恋しや”の、CGSF大作でした。

堅いこと言わず必要とあらば子供心のノリで楽しむことができる人なら老若男女を問わず楽しめる一作です。

浅野忠信さんが出演しているのと、艦隊戦が観られるとの情報を得て、

すわっバトルシップ観なければ、と夫と初日に劇場に行ったんですが

まさかの面白さ!でした。

ユニヴァーサル映画100周年記念作品だけありましたわ。

エイリアンもののCG大作に、古き良き時代のコメディー映画へのオマージュをからませてあって、全体に軽めな仕上がり。

劇中、自衛隊の艦長役の浅野忠信さんが、ジェリー・ルイスの「底抜けシリーズ」の題名を口にするところがあるんですけど、この映画の狙いがそもそもそれなんでしょうね。

「バトルシップ」の、主人公テイラー・キッチュと準主役の浅野忠信さんのコンビは

いってみれば「底抜けシリーズ」のジェリー・ルイスとディーン・マーティンみたいなあもの。

ジェリー・ルイスがボケで、ディーン・マーティンかツッコミ。

テイラー・キッチュがボケ・・・というかアホ、

浅野忠信がツッコミ・・・というか・・・

でもどちらも単細胞、直情型の熱い男たちです。

笑いを散りばめながら、大真面目にエイリアンの脅威から人類を救うべく力を合わせてエイリアンと戦うのです。

浅野さん、可笑しいところは可笑しく、けれどシリアスなところはちゃんとシリアスに演じて、

ハリウッド大作の中で強烈に「TADANOBU ASANO」を印象付けてます。

英語圏の映画で日本人が大役をやるとなると、たとえば渡辺謙さんのように三船敏郎さんのように、力演して頑張ってしまいがちなところを

浅野さんはぜんぜん違います。

ばりばりのCG映画であると同時に、アナログな古き良きものへの憧憬をいっぱい秘めたこの作品ののキモともえいる空気感を完璧に体現してました。

浅野くんのこの存在感、ユニークな持ち味は、英語圏の映画でも今後は貴重な俳優としてその足跡を残していくことになるんでしょうね。

(とりあえずゴールデンウィーク中のお楽しみに、この映画の「底抜けぶり」と「キッチュ&浅野の底抜けコンビ」、いえ「テイラー&忠信のTTコンビ」を加えるの大賛成です)

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2012年2月27日 (月)

ドラゴンタトゥーの女~無修正R18版限定公開だそうで

Rooneycraigkissdragontattoo「ドラゴンタトゥーの女」

←ミカエル(ダニエル・クレイグ)&リスベット(ルーニー・マーラ)

アカデミー賞では五部門ノミネート中、編集賞を受賞、拍手拍手。

できれば女優賞で候補になってたドラゴンタトゥーの女、リスベットことルーニー・マーラにとってほしかったですけど

投票権を持つアカデミー会員には高齢の方も多いし、そうでなくとも保守的と聞きますから

全身ピアスとタトゥーのダークなイメージのヒロインを指示する冒険心はないんだろうなあ・・・と思ってたんですが

やっぱりね、今さらなメリル・ストりープが二度目の主演女優賞受賞。

いえもちろんメリル・ストりープは素晴らしい女優さんですけど

当たり前すぎて意外性のかけらもときめきもわきませんわ。

ある意味それがアカデミー賞で、だからアカデミー賞で、そのせいか例年は映画ファンなのにアカデミー賞授賞式ってほとんど観ないんですが。

(どちらかというと非ハリウッド映画のほうが好きということもあり)

でも、今年はハリウッド版「ドラゴンタトゥーの女」のルーニー・マーラちゃんの存在でアカデミー賞に対して新鮮さがアップしたので珍しく録画してました。

「ドラゴンタトゥーの女」のリスベット役とちがって

Roonya アカデミー賞でのルーニーちゃん、東海岸の名家出身のお嬢様の(本物お嬢)知的エレガントなドレス姿で素敵でした。

媚びないマイペースさが漂い、将来の大物の風格が感じられます。

「ドラゴンタトゥーの女」つながりでは、ヘンリックを演じていたクリストファー・プラマー氏は「人生はビギナーズ」で助演男優賞受賞でした。

ルーニーちゃんとクリストファー・プラマー氏で今日は満足でした。

「ドラゴンタトゥーの女」、三週間たってもいまだに余韻をひきずってます。

物語というより空気だったり、インテリアだったり、ファッションだったり、猫だったり・・・細部が次々と思い出されるんです。

先日は美容室で、美容師さんに「ドラゴンタトゥーの女」観たほうがいいです、とおすすめしちゃいました。

だって「ドラゴンタトゥーの女」はリスベットちゃんのメイクとファッション、それにミカエルのファッションもみごたえありますから。

リスベットはメイクや髪形がシーンごとに変わると言っても過言じゃないぐらい、ちょっとづつ変わるんですよね。

モヒカン、モヒカンの長い部分を三つ編みに、その三つ編みのシッポがぴょんとはね、前髪パッツン等。

メイクも刻々と変わる。

ダニエルクレイグのファッションは眼鏡にニットにダウンに・・・とすべて普通のスタイルなのにかっこいいったらないですし。

そんな「ドラゴンタトゥーの女」、R15なので主人公二人のベッドシーンでモザイクがかかり、そのモザイクシーンに対する不評の嵐はいまなお続いているそうで

配給会社が急遽 モザイクなしをR18無修正版として6日間のみ限定公開することにしたんですって。

この映画のファンとしては観たいけど、えーーっ、でも、どうしよう。。

いまさらそのシーンのモザイク無くしますので来てねっていうのはどうなんだろう、しかもR15版を上映してる最中に。

はじめから無修正版で公開すべきだったと思いますけど、

今になってそれって、なんだか、この映画がまったくちがった意味で注目されるようで戸惑いますね。

未公開シーン○○分加えたノーカット版というのならまた別ですけど。

無修正っていうのはそのシーンのその部分のモザイク消しただけのことでしょう?

だったら目的はそれかい、みたいな。

はっきりいってこういう上映方法では女性は行き難いです。

モザイクは論外だったけど、こうしてモザイクばかりが注目されるのはルーニー・マーラちゃんにもなんだかとっても申し訳ない。

女性だって「リスベットちゃん萌え」の「ダニエル萌え」のファンはモザイクなしの綺麗な画面がいいに決まってるんですけど、もう遅いわ。

あ、その限定公開、東京のTOHOシネマズ六本木だけですって。

札幌はなしか。

ソニーピクチャーズったらもーお。

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2012年2月15日 (水)

ドラゴンタトゥーの女~リスベット萌えとダニエル萌え

★★★★★満点!

「ドラゴンタトゥーの女」、満点

(鑑賞直後は☆4点でしたが一週間たっても後引いてるので一点追加)

注意:女性に対する暴力に関して踏み込んだ描写がなされているので、良識ある大人の方の鑑賞に限定されます。オコチャマは決して観ないように。実年齢30歳でも精神年齢15歳未満の方はやっぱり観ちゃだめ。

良識と鑑賞眼を備えた大人限定です!!

原作も面白い、スエーデン版映画も面白い、ときたらハリウッド版に期待するものは(前記事にも書いたんですが)

主役ふたりのキャラクターでした。

リスベット・サランデルというキャラクターと

リスベットの固く閉ざされた心を開いてゆくミカエルというキャラクターと、

そのふたつのキャラクターが出会って起きる化学反応です。

そのてん、デヴィッド・フィンチャー監督のハリウッド版は大ビンゴ!

そもそも原作もスエーデン版映画も観てたら新鮮味のない二番煎じになっても不思議はないところ、星五つあげたくなるんですからフィンチャー監督でほんと良かった。

原作を読んで私がとてもひかれた部分・・・・

ミカエルがふっとのぞかすユーモアやお茶目さ、自然と女性をひきつけてしまう魅力。

リスベットの奥の奥にある震えるような感受性、繊細、純粋、乙女な可愛らしさなど。

どちらの部分も出過ぎてはいけない。作品全体のスパイスのように少しだけ。

ダニエル・クレイグは流石でした。そのさじ加減がお見事。大人の余裕。

ルーニー・マーラは汚されても魂は誰にも侵させないリスベットを、粗暴さと脆さを共存させた存在感で演じ、陰惨な目にあいながらもどこか清潔な品が損なわれることはない。

ふたつの極上キャラを包むフィンチャー監督の完璧な映像美と音も、そしてスエーデンの冬の凍える空気感も申し分なし、引き込まれます。

全身ピアス、背中にはタトゥーを鎧のように身につけたリスベットのルーニー・マーラはその外見からして観客の目を奪うこと必至の儲け役ですが

ダニエルは完璧にそれをサポート、さらに引き立てるべく地味めナチュラルな演技で余裕で受け止め、疲れの見える中年男を渋めの色気で魅せてくれます。

ダニエルの衣装も見どころでした。中高年の奥様方、ダニエルクレイグが着ている上質&エレカジなオジサマニットの数々、ほんと素敵なんですよ。ご主人様にもいかがでしょう。

嬉しいことにダニエルにも「萌えツボ」いっぱい散りばめられていて何度かニマニマしちゃいます。

リスベットが自然とひかれて、閉ざしていた心が解けてゆくのもこんなに素敵なミカエルならおおいにありでした。

友情なのか恋愛感情なのかもたぶんわかっていないリスベットの、ミカエルに対する行為のひとつひとつがいじらしくなります。

リスベット役はスエーデン版が強烈でしたが、ルーニーマーラの暴力性と乙女部分とのギャップは(私、女ですけど)クセになります。

リスベットが危なげで可愛くて気になって、今やほおっておけませんもの。もしかして私も「リスベット萌え」?!

だから映画の最後のほう、リスベットがとってもせつなかった。。。

そのせつなさが「リスベット萌え」達を続編へといっそう強く繋げてゆくのではないかしら。

ふたりの距離感が続編でどう表現されるのか興味は尽きません。

見守ってゆくしかないでしょう。

◎原作を読まれてない方は観始めたらあまり考え込まずに映像のリズムに身をまかせることをおすすめします。

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2012年2月 8日 (水)

バビロンの陽光~イラク映画

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イラクの映画を観ました。

「バビロンの陽光」。

2011年(製作は2008年)

ベルリン映画祭・アムネスティ賞&平和賞同時受賞。

こちらが公式サイト

http://www.babylon-movie.com/

監督は1978年イラク人のモハメド・アルダラジー監督。

2003年、フセイン政権崩壊から三週間後のイラクが舞台のロードムービーです。

ロードムービーといってもまだ戦火消えぬイラクです。

イラクを描くのに監督は家族の絆をひたすら突き詰めてゆくのですね。

決して声高に叫んだりしません。

ただどこまでも広がる砂漠や、まだ煙が上る戦争の爪痕に、祖母と孫との心のドラマを重ねてゆきます。

二人はクルド人地区から1000キロ近く離れたナシリヤまでの旅に出るのです・・・・祖母にとっては戦地で行方不明となっている息子・イブラヒムを探す旅であり、アーメッドにとっては顔も知らない父を探す旅です。

アラビア語はわからない祖母はいつも緊張した面持ちですが、

孫のアーメッドはアラビア語もすこしは話すことができて、イラク人にもまったく臆することがありません。

そんな二人を突き動かしているのは行方不明のイブラヒムとの目に見えない強い絆だけです。

彼らが出会うイラク人は誰もがとても善い人たちです。

クルド人である二人をそれだからといって虐げる人も、拒絶する人も出てきません。

むしろみんなが優しいのです。

こういう映画を観るといつも思います。

個人は分かり合えるし許しあうこともできると。

それなのに国や民族となると憎しみ合い殺しあう。

彼らが途中で出会ったイラク人のムサという男が抱える心の傷や自責の念がとても辛い。

ムサは兵士として戦争にかり出されたときにクルド人を虐殺したと祖母に打ち明け許しを乞いますが、クルド人である祖母は怒って、サムになついていたアーメッドを引き離します。

ムサと、怒る祖母の間で耳を塞いで、「やめて、仲よくして」と叫ぶアーメッド。

それは監督の祈りですね。私たちみんなの祈りでもある。

祖母とアーメッドが行く道の先にイブラヒムは生きているのかそれとも・・・・。

アーメッドの未来が平和であるようにと、砂漠の中の美しい史跡の数々が平和のなかでまた輝く日がきますようにとの願いをこめて★5つです。

★★★★★

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2012年2月 6日 (月)

「ドラゴン・タトゥーの女」~小説と映画

2月10日が待ち遠しくて(^^)

「ドラゴン・タトゥーの女」の公開日。

原作の「ミレニアム」をⅠ、Ⅱ、Ⅲ、全部読み、

ハリウッド版の映画を観るまではそれが原作の本国スェーデンの作品であっても観ないほうがいいかなあと思いつつ

原作のあまりの面白さゆえ、ついふらふらと手を出してしまったスェーデン版映画「ミレニアム」のDVD全三枚。TSUTAYAで。

ところがスェーデン版映画はちょっと肩透かしでした。

というのも原作を読んでいちばん面白かったところ、美味しいところがスェーデン版ではほとんど抜け落ちてたからです。

事件とその謎解きを「幹」とすると

物語を豊饒にしている「枝葉」の部分、そこがこの小説ではとっても美味しい。

その美味しい枝葉とは(私にとって)

登場人物たちのキャラクター造形の一歩踏み込んだ部分です。

タトゥーをいれたゴスで風変りな天才ハッカー、リスベットの孤独の(内にある)柔らかで繊細で乙女なところとか

雑誌記者のミカエルの(たまに漏らす)ユーモアやチャーミングさ、(無意識に発する)フェロモンとか(^^;)

ミカエルの雑誌の共同経営者・エリカの知的さの(奥に隠れてる)セクシャルな部分とか。

彼らの同僚のゲイがもたら細やかなバランス感覚とか。

女性たちといとも簡単に肉体関係を持ってしまうミカエル、それもモテない男が一生懸命女を口説いて、、、という野暮ではなく

女性たちのほうが服を脱ぎながらミカエルに迫ってくるorミカエルを求めてくる、というぐらいの素晴らしいモテっぷり。

しかもその後は女性たちがなみんな大満足、できればあなたとの肉体関係を今後も続けたい、と女性に言わせてしまうほど魅力的なミカエル。

そんなミカエルと長きにわたって関係を続けている「ミレニアム」の共同経営者であるエリカが密かに抱いている夢というか妄想が、夫と自分とミカエルとの3Pとか(へえー)、スェーデンてすごい(@@)

(その部分は第二部か第三部かも・・こんがらがってすみません)

女にとって仕事の仲間としても、お喋りの相手としても、またベッドの相手としても理想的なミカエル。

彼のそんな魅力が、トラウマと深い孤独を抱えて殻を閉ざしたリスベットすらじょじょに変えていく。

そのリスベットの内面の変化…等々。

枝葉が魅力!

ハリウッド版ではミカエルがダニエルですので、原作ミカエルのチャーミングさまで期待したいところです。

“とってもミカエル”“なんてたってミカエル”

リスベットのほうも、“ゴスでおっかねえリスベット”だけど“チラリとのぞいてしまう繊細で乙女なリスベット”になってると思いたい、思わせて(笑)

ミカエルとリスベットのそれぞれの魅力をたっぷりと描いてくれたら嬉しいなあ~と、

期待度計の針が振り切ってます。

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ライフ 命をつなぐ物語

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予約していたDVDが届きました。

お目当てはダニエル・クレイグのナレーションです。

日本公開のときには地元では日本語版のナレーションしか上映されてなくてがっかりでした。

松たか子さんと松本幸四郎さん親子のナレーションはファミリーとかお子様にはすごくよかったかもしれませんね。

ナレーションが親切すぎて観るほうが受けてになってしまうのが残念でした。

オリジナルを観ると、

ダニエル・クレイグひとりのナレーションは、あくまでも映像を主役として脇に徹した抑制ぶりで、静かで知的、上質な仕事してるわあってちょっと感動しました。

BBC自然班が撮影した映像の美しさはブルーレイディスクでより身近に迫ってきます。圧倒的ともいえる素晴らしい映像は「観る」というより「体験する」という感覚になりますね。

どうやって撮ったのかしらといちいち驚いてしまうんですが、付属の解説書を読んだらなるほどと思います。

その解説書は60ページ強あるのですが、撮影の裏話、BBC自然班の潤沢な資金とど根性、知力体力センス、すべてに感心しちゃいます。映画に登場した生き物たちのことをさらに知りたいときにもとても良い読み物になってます。

撮影地は地球規模、陸海空、各地に及ぶので、たとえば「皇帝ペンギン」のような一つの動物に深く迫るというのではなく図鑑的になってますが

そのせいかわかりやすい物語性は薄まっているのですけど

生きとし生けるものすべての「真理」というようなことがそこはかと感じられてきます。

生きとし生けるものたちは命を次世代につなげてゆくために生きていく、また命を受け継ぎそうして生かされてゆく。。。知恵をしぼって絶えず変化していくし、他の命とも繋がり、地球上で大きな環を成しながら生きていく。同時に自分の種を守っていく。

ライフ~命をつなぐ物語

まさにまさに。

命としての最大のその「物語」を失いつつあるようにも見える日本人の未来はこれからどこに向かおうとしているのでしょうか。

「ライフ 命をつなぐ物語」というタイトルそのものが日本の未来のキーワードそのもののように思えてきました。

ここ一週間、毎日少しづつローワンアトキンソンの「ブラックアダー」を観ていて騒がしい刺激がマンネリ化していたので(笑)

「ライフ」の静かさが逆に素敵な刺激です。

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2012年1月 9日 (月)

ミレニアムⅠ ドラゴン・タトゥーの女~読み始めたらとまらない

スウェーデンの作家、スティーグ・ラーソンの世界的ベストセラー

「ミレニアム」

まずは第一部、ドラゴン・タトゥーの女

昨日夕方買ってきて読みはじめました。

冒頭から心惹かれる描写にぐいぐいと小説世界に引き込まれ、読みやめれなくなって徹夜しました。

上下巻あわせて863ページの長い作品ですが、

本格派の香りぷんぷんの冒頭からじょじょに、社会派、暗号解読、猟奇殺人、サイコパス・・・・といろんな要素が入れ子になっている、それはもうお見事!

地理的な広がりと1800年代にもさかのぼる時間の広がりは壮大であり

スウェーデンの経済史を織りこみながらもけっして難しくならず、

倒錯した異様な事件は衝撃的で救いがないけれど

主人公たちとその周辺の個性豊かな人物造形と、日常の細やかな描写などあいまって、

どの断片を切り取っても面白さが溢れてきます。

「どうなる?どうなる?」と早く読みたい気持ちとは裏腹に

読み終えてしまうのがもったいないような気持ちもおきてしまう。

そしてこれは秀逸なミステリーであると同時にとてもよく出来た恋愛小説でもありました。

主人公のミカエル・ブルムクヴィストとリスベット・サランデルの。

いや違うかな、リスベット・サランデルがミカエルに対する思いをはっきりと「恋」であると自覚するまでの。と言ったほうが適切かな。

セキュリティー会社の調査員をしているリスベットは、刺青&ピアスをしたパンキッシュな姿の25歳で、心を閉ざした硬い表情と、時々みせる凶暴さ、しかしその奥にある震えるような感受性を抱えている。

そんな難しいリスベットをごく自然に笑わせることのできる、雑誌「ミレニアム」の共同経営者で記者の40過ぎのミカエル。

この2人の絶妙で繊細なコンビぶりは、これまでのミステリー史に名を残したコンビたちを軽~く凌いでるんじゃないかしら。

この映画化作品が2月10日に公開されますね。

原作が素晴らしかった場合・・・・映画には過度な期待をしないと決めてるんですが、

これはちょっと違います。

だって贔屓のダニエル・クレイグがミカエル役だもの。

小説を読みはじめてすぐにミカエル役にダニエルはピッタリって思いました。

年齢もほぼぴったりだし、

ミカエルのキャラクターから感じるユーモア、少年ぽさ、相手の懐に飛び込む愛嬌、そしてセクシーさ(*^^*)、 脱ぐ女はすべからく受け入れる広い心(爆)

って、これだけ並べたらミカエル役はダニエル・クレイグしかおらんでしょう(鼻息)

それにあんなシーン、こんなシーン・・・・・映画で全部やってるか知りませんが、とくに犯人につかまっちゃうところ(^^;) 拷問室ですよ、拷問室。  カジノロワイヤルの拷問シーンの再現かと一瞬ひやひやしたらそうではなく「Jの悲劇」が待ち構えてたりして(ニマ)

リスベットは「ソーシャルネットワーク」に出ていたルーニー・マーラ。「ソーシャルネットワーク」は観たんですが彼女のことはあまり記憶に残ってないのですが、「ドラゴンタトゥーの女」はとても複雑な役柄ですので、うまくやってくれたらきっと今年は彼女のブレイク年になりますね。

でも映像作品としてはどんな出来栄えになっているかと心配です。

あまりにも素晴らしいミステリー小説なので、映像のほうは別物と心得たほうがいいかもしれませんね

小説のほうはとっても複雑ですし、かなり残酷な場面が何か所もあしますし、映像化するのは一筋縄でいかないでしょう、全部のエピソードを入れるわけにもいかないでしょうしね。

監督はデヴィッド・フィンチャーですから手際よくさばいてくれるとは思いますけど。

予告編を観ると、レッドツエッペリンの「移民の歌」をカバーした歌や、ノイズが効果的に使われた音楽など、まだちょっとしか聴いてませんが期待値がさらにたかまってきます。

小説のほうは第二部、第三部と続けて読みたくなります。映画のほうも二部も三部もダニエルで期待したいです。

2月が待ち遠しい。

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2012年1月 7日 (土)

現代の欲望~たおやかなハゲタカ

現代の欲望 ★★★★★

(池部良さんのたおやかな着物姿に★オマケの満点)

HDDに録りためた番組をチャッチャカチャッチャカと消しているうち

年末にチャンネルNECOでやっていた池部良さんと高峰秀子さんの「朝の波紋」まで消してしまい、大ショック。

昨年阿佐ヶ谷で観てはいるんですが、池部良さんの良家の坊ちゃま風着物姿と、ボード部OBの短パン姿を残せなかったのが口惜しくて口惜しくて(爆)

同じく年末に録った「現代の欲望」は残っていて、ホッ。

どちらの映画も「はっ」とさせられたのが“普通の着物姿の池部良さん”です。

もーしょーもないミーハーですね。

’40年代から’50年代の頃の池部さんの着物姿、ほんとうに綺麗ですも。

「朝の波紋」では茶室でお茶を点てるときにお着物着られてて、なんなんでしょうねえ、あの色香、清潔な中にふわ~んと薫るもの、狭い茶室の中は着物姿の池部さんの香りで溢れ返るんですから。

「現代の欲望」もまた着物姿が素敵でした。

でもお話のほうは金融の裏側を抉ったもので、当時としては問題作とよぶにふさわしいものだったんでしょうね。

株の操作、会社の乗っ取り。

池部さんの役柄は銀行の貸しはがしも請け負う高利貸し

今でいうハゲタカなんですね。

銀行ってエグイですよねえ。貸し渋りと貸しはがし。今では、抵当になるものがない小口の場合は子会社のサラ金(高利貸し)にどうぞっていう感じですものね。そうははっきり言わなくても、系列のサラ金みたいなのどこの銀行も持ってますよね(?)

でもこの時代は経営のあぶないところには銀行が高利貸しを紹介したりして。

お金を貸してもらいに来た町工場の社長に対して、銀行の上役の中村伸郎さんの台詞が露骨でした。

お金は貸せないが、二百万新たに預けてくれたら貸すよ、と。

町工場の社長のほうはお金がないから借りに来てるんだからそんなのはじめから無理。

すると、中村伸郎さん次なる提案、

高利貸しを紹介してそこから200万借りて、こっちに預金してくれればいいよと。

そこでその町工場の社長が行くところがハゲタカの池部良さんのところ。

銀行と高利貸しがツーカーの仲です。

金融の闇・・・コワ・・・。

淡々とシャープにそのへんは描かれてますが

ハゲタカ・池部良の人間的な優しさと甘さもちゃんと描かれてます。

問題作だといってもやはり池部良という俳優を中心にしたスター映画ですものね。

田舎から両親が上京してきた場面、

自分のぶんも含めて歌舞伎のチケットを三枚とって親を喜ばそうとした池部さんの姿は「エデンの東」のジェームス・ディーンを彷彿としちゃいました。

長男しか愛さない父親に、次男であるジェームス・ディーンがお金を差し出して拒絶されるシーンです。

次男の池部さん、かわいそう。

でも、ジェームス・ディーンより年齢がいっててインテリで感情をコントロールできるハゲタカの池部良さんは、愛と表裏一体の憎しみとか渇きを、ハゲタカとしてのさらなるエネルギーに変えていくことになるんですが。

父親との場面で着ているのが着物で、その姿がなんとも綺麗でたおやかで、そのぶん、さらにせつない。

企業乗っ取りがどうなるか、自殺した会社経営者の娘である司葉子さんとはどうなるか、最後まで見どころが盛りだくさんです。

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2012年1月 3日 (火)

長屋紳士録~小津安二郎監督

長屋紳士録 ★★★★★

今朝、親戚の家に御年始に出かけ、

シャンパンを飲みながら皆で箱根駅伝に熱中TV観戦し、

すっかり良い気持ちになって帰宅して

それからポチポチと打っているこの記事。

正月だ持ってけ★5つ~~と酔っぱらってるせいのオマケの★5つではなく

ほんとうはもっともっと上げたいけどこれ以上上がないという意味での

完璧な★5つです。

これぞ、THE BEST 日本映画!

小津安二郎監督 の 「長屋紳士録」。

飯田蝶子さんと子役少年のコンビ、最高~。

よおっし、前記事のスペイン映画「ペーパーバード幸せの翼にのって」の子役少年と比べちゃおうか。(なーんて)

いやいやほんとに、その子役は名前からしてすごいです。

青木放屁。

放屁、です。

役名ではありません、芸名(まさか本名ってことはありえなさそう)でしょうね、きっと。

感情表現がとってもニッポンジン。

子供のくせにものすごく寡黙、淡泊、豆腐みたいな味わい。

がしかし、そのご面相は・・・・つぶれた石のような、ひしゃげた鬼瓦みたいな、床に落とした豆腐みたいな。。。。(放屁くん、ごめん)

だけど観ているうちにいじらしい野良犬の可愛らしさに似て、どんどんハートに食い込んできます。

観終わる頃には、「青木放屁くん、味のある子役のナンバーワ~ン」と私の心が叫んでいました。

戦争の跡がまだなまなしく残る風景のなかに置かれたとある長屋に、

笠智衆がひろってきたのは親とはぐれて孤児同然となった少年、放屁くん。

しらみのわいた粗末な衣服のその少年を、長屋の誰が預かるか決めるのになんとジャンケンポン(苦笑)

子どもの扱い、今から見るととってもブラック。

けっきょくその子を引き受けることになった飯田蝶子さん、子供に「しっし」と両手をはらったり、どうみても犬猫以下の扱いなんですよね。

実際もののない時代のこと、ひとり食い扶持増えたらどんだけたいへんか。

長屋にひょんと入り込んできた少年によって小さな波紋が生じ、一人暮らしの中年女の心の機微が浮かび上がってくる。

「ネションベンするし」「腹空かすし」「へんな顔」の子供と罵詈雑言の飯田蝶子が、

口は悪いもののすこしづつ母性愛のようなものを芽生えさせていく変化も見どころ。

一人暮らしの中年過ぎた女がこれからの人生の希望、喜びをその少年との暮らしに見出してしまう気持ち、とってもわかる。

いっぽうで、ぶっきらぼうな飯田蝶子のべらんめえな物言いの迫力にも動じない、青木放屁なる子役の存在感に魅せられっぱなし。

芸の世界では犬と子供にはかなわないとはよく言ったものです、なんという存在感でしょう!

ほとんど台詞を発しないからこそ、その子の一挙手一投足から目が離せなくなるし、その子のわずかの動きにも目が釘付けです。

映画のなかの昭和22年という記号をすべて抜き去ったとして

そこに映っているのはもしかしたら今現在の私たち。

人と人とが大真面目に絡まったりぶつかったりして発するあらゆる感情の渦巻き。優しさとささくれだつ気持ち。悲劇でさえもすべては人間喜劇へと昇華されてゆくってことでしょうか。

庶民の暮らしの中に時代を映しつつ、時代を超えたスタンダード。

小津作品は何度観なおしても観るたびに新しいです。

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ペーパーバード・・幸せは翼にのって~年末に映画館で観た映画

★★★★★

スペイン語の先生がお引越しなさったので、ちょっとかじっていたスペイン語をやめてしまって早3年目。

わずかに記憶していた単語もいまではほとんどすべて忘れてしまいました。

でも、やっぱり大好きなスペイン語圏の映画。

年末には前記事にしたアルゼンチン映画「幸せのパズル」といい、

そしてスペイン映画の「ペーパーバード幸せは翼にのって」といい

昨年映画館で観たすべての映画の中でもマイベストファイブに入る秀作が、ともにスペイン語映画であったのですんごく嬉しい~。

「ペーパーバード幸せの翼にのって」はスペイン映画としては何度も何度も映画化されてきた内戦時代からフランコ軍事独裁政権へと移ってゆく暗黒の時代のお話。

主人公である芸人コンビと孤児の少年はじめ、さまざまな芸人たちが思想や言論や笑いまでも統制される暗黒の時代を逞しく生きて行こうとするもの。

こういうジャンルの映画では必ず号泣してしまう私なので、映画館へはハンカチ一枚多く持参してました。

ところが、涙をしぼらせるような場面は適度に控えめで、知的な節度を保った作品になっていて、そう激しく泣かずに済みました。

映画館を出た後、お化粧直ししなくてもカフェに入って友人とお茶できました。

だからといって物足りなさはないんですよ。

少年ホルヘ役の子役さんはちょっとあざとく頑張りすぎなんですが、イタリア映画「ライフイズビューティフル」のベニーニほどじゃないのでまあ良し(笑)

芸人コンビのホルヘとエンリケは滋味深く、エンリケはゲイで優しく、ホルヘは渋く、そのキャラの差異がとても良いです。

ホルヘは芸人なんだけどちょっと暗い、内戦で妻と息子を亡くしてるんです、翳りのある芸人。

しかしなんといっても圧巻なのは、フランコ政権時代から一転、現代に変わってからのラスト数分間でしょうか

孤児の少年だったミゲルが老人になっている。

軍事独裁政権のスペインを脱出しアルゼンチンへと逃げ延びた彼が、その後芸人として頂点を極め、今、スペインから賞を授与され、はじめて凱旋帰国して、舞台に立とうとしているのです。

一度は捨てた故国の舞台に立った彼が、至芸ともいえる話術で観衆に語ります。

自分を育ててくれた2人の芸人、ホルヘは父であり、エンリケは母であったと、そしてかつてホルヘが歌った歌を歌いだします。

それはホルヘが反骨とユーモアを武器に、軍政を風刺し、軍政に立ち向かって歌った歌でした。

そのくだりを演じた老優の、自然体という至極の芸の素晴らしさ。あの方はいったいどなたかしらと気になって、

調べてみたら監督のお父様で、たいへん有名なサーカスアーティストだとか。

なるほど空気感とか並みの俳優と比べものにならない雰囲気を持っていらっしゃるわけですね。スペインではもしかして人間国宝級かも。。。

というわけで、監督のお父様に捧げる★5つです。

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